今回は毎年の最終更新に恒例となった「ボードゲームのことゲーム大賞」です。

これは2022年に僕が遊んだゲームの中から特に気に入ったものを讃えるだけの賞です。
今回も今年遊んだというだけで発売年などは関係ありません。


まず、今年最も気に入ったゲームに贈られるゲーム大賞です。

ボードゲームのことゲーム大賞2022は『ウォーターディープの支配者たち Lords of Waterdeep』です。

2022ベストゲームのLords of Waterdeep
2022年のゲーム大賞は「ウォーターディープの支配者たち」Lords of Waterdeep

これは文句なしに今年一番のお気に入りです。かなりの回数を遊びました。日本語訳シールの作成に大変な苦労をしましたが、そんな苦しみはゲームの楽しさで完全にペイできたと感じています。素直なワカプレなのに変な中毒性と楽しさがあります。
有名TRPGのファンタジー世界が舞台で、とても馴染みのあるRPG共通の世界観なのですんなり入り込めました。アートワークの濃さなんか気になりません。むしろいい味出てます。
このゲームの何がそんなに面白いのかハッキリ言うのは難しくて、素直なワカプレで非常にわかりやすいこと、秘密の個人目標を伸ばそうとすると意図せず他人の邪魔にもなるようにできている上手なシステムなど地味なことしか思い浮かびません。とにかくプレイ中は常にじんわりと楽しいのです。
テーマは「都市の有力者となって街にたむろしている様々な職業の冒険者を雇い入れ、都市の支配者になるためのクエストを依頼していく」ことですが、そうは言ってもやる事はシンプルなワーカープレイスメントで、ぜんぜん難しいルールではないのがやっぱり一番の魅力でしょうか。プレイ時間が長くなりそうな重ゲーに見えますが、サクサク進む中量級くらいのカジュアルさなのも推せる点のひとつです。
実はすでに拡張も苦労して和訳してプレイ済みです。この拡張もとても面白いのですがまだ記事にしていません。

ということで2022年のボードゲームのことゲーム大賞は「ウォーターディープの支配者たち」Lords of Waterdeepです。


このあとは部門別に。

2022年の重量級ゲーム賞は『オルレアン』と『ビヨンド・ザ・サン』の2作品です。

「オルレアン」はまだ記事を書いていませんが、(後日書きました)アップグレードキットを買うくらい気に入りました。バッグビルディングでワカプレをするので、引きが悪いとなかなか思い通りにいかないのが良いですね。そんなに運要素なさそうな硬派なゲームに見えるのですが、実際は「黄色の修道士(オールマイティ駒)3人も雇い入れてるのに全然引けない!」というような叫び声が聞こえてくるいいゲームです。デッキ構築系なのでやはり堅実にバッグの中身を調整してるプレイヤーが強いかもですね。意外にボード右側の地図のほうに注力しなくてもそこそこ勝利点を取れたのですが、拡張を入れるとそちらも必須になりさらに面白くなりました。

オルレアン
「オルレアン」。そこまで複雑ではないルールにもなんだか魅力があると感じる

ビヨンド・ザ・サン」はものすごく気に入ったゲームです。「ウォーターディープの支配者たち」がなければ大賞だったかもしれないくらい気に入りました。
CIV系のゲームでおなじみの技術開発ツリーがワカプレのアクションマスになるのは最高のシステムだと思います。自分がどの技術開発ルートを取るべきか、そしてどの程度植民地に力を割くかとても悩ましく楽しいです。運要素と対人インタラクションが適度にあり、毎回とても盛り上がる良いゲーム体験になりました。
SFテーマなので敬遠されがちかもしれませんが、プレイしないのはあまりにもったいないです。僕の周囲のボドゲ知人たちにもあまり遊ばれていない印象です。もっと話題になってもいい名作だと思います。

ビヨンド・ザ・サン
隠れた名作「ビヨンド・ザ・サン」。見た目で損しているのか?面白いですよ

2022年の中量級ゲーム賞は『厄介なゲストたち』と『マレーシア麻雀』の2作品です。

珍しい推理ゲームの入賞です。「厄介なゲストたち」は往年の名作「クルード」系の論理推理ゲームに分類されるタイプのゲームですが、もう別次元の傑作と化していると思います。しかもどうやって作っているのやら驚くしかないようなシステムで、毎回新鮮な気持ちでプレイできます。初回プレイ時は本当に「これどうやって作ったんだろ?」と話題になりました。ちなみに僕はこれものすごく気に入っているのですが、まだ事件解決一番乗りをしたことがありません。
ルールブック付属の問題集でも遊べますが、アプリを使う方がプレイに猶予ができてとても面白いです。スマホアプリとボードゲームの連携としては本当に違和感なくできました。アナログ非電源ゲームという枠からは外れるのかもしれませんが、面白ければどんどん融合してかまわないと思います。ただ、アプリは使えなくなる日がくるかもしれないのが不安ですね。

厄介なゲストたち
推理ゲームが苦手な人も楽しんでいた

そして、出ました。「マレーシア麻雀」です。麻雀経験者ほどルールに悲鳴を上げる3人麻雀で、「飛」というオールマイティ牌の存在が強烈です。オールマイティ牌というとドンジャラやポンジャンを連想するかと思いますが、実はドンジャラ感はそんなにありません。カンがご祝儀の対象だったり、捨て牌河がなくてバシバシ適当に捨てたり、とにかく派手です。いつか見た香港映画のあの乱暴な麻雀ぽい謎ゲームを今プレイしてるんだ…と感動しました。
スリルとスピード感があってものすごく面白いですが、僕はマレーシア麻雀を楽しく遊んだ後は普通の麻雀がとても下手になる気がします。「飛」がない麻雀なんてもうできないかもしれない…。麻雀経験者も未経験者もチャンスがあったら是非プレイしてみてほしいです。

マレーシア麻雀
「飛」はフェイと読みます。猫ちゃん牌とかムカデ牌とか、全部花牌ドラ扱い。超面白いです。

2022年の軽量級ゲーム賞は『キャット・イン・ザ・ボックス』と『ワーリング・ウィッチクラフト』の2作品です。

キャット・イン・ザ・ボックス」は今年のゲーム賞から絶対外せません。ちょっと衝撃的なトリックテイキングでした。トリテのことをまだよく理解できていない人とプレイしたところ、ゲーム中に突然「あ!トリテのカードの出し方のコツが分かった気がする!」と喜んでいました。誰の手札の何色が枯れているか、残りのランクは何かが全部公開情報なので、トリテとしてはとてもやさしいのが良いのかもしれません。ただしトリテが苦手な人でも楽しく遊べるのは「トリテとしては優しい」からで、ゲームとして簡単なわけではないのもいいですね。
これもかなりの回数を遊びました。

キャット・イン・ザ・ボックス
変わり種トリテの最高峰だと思っている

ワーリング・ウィッチクラフト」は初回プレイ時になんて面白いんだろうと感動したゲームです。短時間でこんなに楽しいドラフト系ゲームがあるとは驚きでした。素材入りの鍋とカードを左右にぐるぐる回していると、あっという間に誰かの素材が溢れてゲーム終了します。これも気に入りすぎて鍋のアップグレードキットを買ってしまいました。「オルレアン」もそうですが、アップグレードキットを買うほど気に入ると受賞するわけです。
遊ぶたびに本当にいいゲームだなぁと思うのですが、これも僕は一度も勝ったことがありません。いいゲームだなぁとかブツブツ言いながら素材をダバダバ溢れされています。

ワーリング・ウィッチクラフト
軽量級とは思えない見た目だが、あっという間に終わる超いいゲーム

2022年の紙ペンゲーム賞は「ハドリアヌスの長城」です。

今年から新設された紙ペンゲーム賞は「ハドリアヌスの長城」が受賞です。これは今年一番衝撃的だった重量級ゲームかもしれません。紙ペンゲームなのに気が付けば3時間くらい遊んでいました。とにかくコンボが止まらないので全員同時プレイなのに時間がかかります。考え出すとキリがないのでタイマーが必須かもしれません。
対人インタラクションがあまりないので多人数同時プレイソリティア感がありますが、僕は超楽しいです。とはいえあまり評価しない人がいるのも理解できます。僕としてはテーマもアートワークも好みでとても気に入っています。このゲームをしていると全員が独り言を言い出して面白いですね。

ハドリアヌスの長城
驚異の重量級紙ペンゲーム。日本語版も出た。

2022年のカードゲーム賞は「テラフォーミング・マーズ・カードゲーム:アレス・エクスペディション」です。

ややこしいですが超名作カードゲームのカードゲーム版です。「テラフォのアレス」と呼んでいます。オリジナルの「テラフォーミング・マーズ」はプレリュード拡張とヘラス&エリジウム拡張も持っていて、かなり好きなゲームのひとつです。そのうえで言うと実はこれオリジナルより好きかもしれません。簡略化されてますが間違いなくテラフォーミングマーズ感があります。そして突然のヴァリアブルフェイズオーダーシステム。不思議なことに似たシステムの「レース・フォー・ギャラクシー」は僕のプレイ仲間たちに不評なのですが、こちらは好評で今年何度も遊びました。
わかってない奴と言われそうですが、この「テラフォのアレス」を買ってからなんとオリジナルの「テラフォーミング・マーズ」を遊んでいません。それくらいこちらで満足しています。
褒章などが追加される拡張も日本語化してほしいですね。

テラフォーミング・マーズ・カードゲーム:アレス・エクスペディション
オリジナルより気楽に始めることができるのが大きい

2022年のトランプゲーム賞は『カナスタ』です。

最後の賞はまさかのトランプ専門賞。来年も存在する賞なのかは不明です。
今年もトランプでたくさん遊びました。「ボドゲ一周回って結局トランプになるおじさん」とか言われてそうですが、トランプゲームは本当に楽しいです。そして今年もっともよく遊んだのはこの「カナスタ」です。
どのくらい遊んだかというと、チーム入れ替え総当たり戦をやったくらい遊びました。カナスタの魅力はラミー系に珍しいチーム戦というところです。チームメイトの手札はてんこ盛りだが自分はいま上がりたいもどかしさ、たまりにたまった捨て札山を誰が拾うのかのドキドキ感、拾った捨て札山が宝の山となる瞬間の興奮、いくらでも楽しいところを言うことができそうです。
カナスタではトランプ2デッキで合計カード108枚を使います。すべての2とジョーカー、つまりは12枚がオールマイティーなワイルドカードなのも楽しさの一つです。ルール説明するのにやや複雑に思われがちなのが難所ですが、そこを過ぎて数回プレイすればみんなカナスタ中毒になってしまうでしょう。カナスタはたぶん来年も遊び続けますが、新しいトランプのゲームも随時テストプレイしていくので、さらに面白いゲームを発見できるかもしれません。楽しみです。

カナスタ
カナスタ用のカード。2に思いっきりワイルド!と書いてあって親切。つまりカナスタしかできない。

ということで2022年の各賞が決定いたしました。

今年は雷サージを食らったりもしましたが、新しいボドゲ仲間が増えた良い1年でした。
ボードゲーム関係者の皆様、いつも楽しいゲームをありがとうございます。
またこのブログ読者の皆様、今年もありがとうございました。
来年もよろしくお願いいたします。