「ハドリアヌスの長城」(Hadrian's Wall)の感想など

激重紙ペンゲームとして話題になっていたゲームです。いずれ日本語化しそうだと思って半年くらい待っていましたが、全然そんな話も出てこないので(後日追記・日本語版の発売決定しました)英語版を購入して和訳シールを張り付けました。中量級ワカプレ「スキタイの侵略者」と同じアーティストによるアートワークが美しいゲームです。

ゲームのタイトルは古代ローマの皇帝ハドリアヌスがイギリスに建造した長城のこと。長城はケルト人の侵入を防ぐために作られたもので、プレイヤーはその長城の一部分を任された司令官として壁の補強や付近の発展を競います。

実際に遊んでみるとベストプレイ人数が1人となっているのも納得の重さ&ソリティア感です。4人で遊んでみましたが、インスト込みでゲーム終了まで普通に2時間以上かかっていました。紙ペンゲームなのに!
疲れたもののすごく楽しかったのでその後ソロでも遊んでみました。驚いたことに1人でもほとんど楽しさが変わらず。

ハドリアヌスの長城
4人でも1人でも楽しさはあまり変わらない

つまり同時プレイソリティアなのです。一応両隣のプレイヤーとのインタラクションはありますが、ゲームが劇的に変化するほどではありません。
ラウンド開始の合図とともに各プレイヤーがウンウン唸りながらワカプレのようなコマを延々と場から取ったり戻したり、紙にチェックを入れては「アッこっちじゃなかったか」「あれ、資材が足りない」と独り言だらけになります。

ハドリアヌスの長城
個人ボードと個人デッキ、プレイシート2枚を使うのでそこそこ広さが必要になる

何を選んでも連鎖が止まらない

具体的な内容はというと、みんな大好き拡大再生産と連鎖のゲームです。長城を伸ばして穀物倉庫を拡大すれば労働者が増え、人が集まってきて町ができ、町ができれば収入が増え、その収入でさらに壁を補強する。そういう連鎖が醍醐味です。というかこのゲームは大連鎖ゲームです。連鎖が止まらないのです。

チェックした場所に描いてあるボーナスが貰えるので、ここを塗りつぶしたらアレが貰えて、貰ったこれであそこもチェックできる、という選択肢が膨大にあります。プレイシート見てもらえたらわかりますが、やれる事が多種多彩にあるのです。
ホテルを建てて訪れる市民が毎年増えるようにするか?それとも防御兵を増やすか?いやいやその資材で神殿を建てよう。公衆浴場が先じゃないか?
…どうせ全部はできないのです。やりたいようにローマ属州作りをしましょう。

ちなみに毎ラウンドの最後にケルト人の襲撃があり、ゲームが進むにつれて徐々に激しくなっていきます。長城の防御を突破されると恥辱にまみれ、勝利点がガツンと下がります。そうなったら公衆浴場作って市民に媚びたりしましょう。

ハドリアヌスの長城
個人目標のカードなどを個人ボードに挿していく

難しめのダイス紙ペンゲーム「Fleet :The Dice Game」よりもさらに複雑で、連鎖が続くので考え始めると終わりません。そこが楽しい所でもあるのですが、複数人プレイだとダウンタイムがとんでもないことになるのでタイマーの使用をお勧めします。

これだけ面白ければそのうち日本語版が出てもおかしくないと思いますが、今のところそういう噂は聞きません。カードやプレイシートに言語依存がそれなりにあります。
(追記:発表の後すぐ日本語版が発売されました)