もくじ
・タロットで遊ぶゲームについて
・タロットで遊ぶときの基本的なこと
・『パパユー』で遊んでみた
・感想など
タロットで遊ぶゲームについて
2~8人用。プレイ時間15分~。この記事を書いている時点のBGGでは5人プレイがベストとなっています。
ルール難易度はいろいろ。今回はタロットはトリックテイキング用のカードですというお話です。
みなさんタロットカードのことを占いに使うだけのカードだと思っていませんか。今「タロット」でインターネット検索をすると、煌びやかで、耽美で、幻想的な装飾に満ち満ちた占い関連の情報ばかりがヒットします。しかしタロットの歴史からスピリチュアルなあれこれを排除していくと、もともとはトリックテイキングを遊ぶために開発されたものだという事がわかってきます。
トリックテイキングが何の事かわからない人は「ザ・クルー 第9惑星の探索」の記事で簡単に説明してありますので、そちらを読んでみてください。
学術的・考古学的に根拠や証拠がある範囲でわかっていることは、タロットカードは1400年頃にトリックテイキングゲーム用のカードとして開発されたということです。その後ヨーロッパでは神秘主義が流行し、タロットの絵柄に神秘主義の象徴図柄を加えられたりしつつ1700年代の後半頃からオカルトや占い用のカードとしての歴史を歩むことになります。
トランプカードと同じように印刷機の発明がヨーロッパ中への伝播に拍車をかけました。ちなみによく言われるタロットがトランプカードの原型、あるいは逆であるということは特に証拠もないようで、どちらも古くから世界各地で遊ばれていたゲーミングカードの別ルートでの派生かもしれないらしいです。
さて、スピリチュアルやオカルト占いよりもボードゲーム派の我々としては、タロットカードを使ってどんなゲームで遊ぶのかが気になるところでしょう。先日友人と遊んでみました。
タロットで遊ぶときの基本的なこと
タロットカードもトランプのスペードやハートなどのシンボルマーク(スートといいます)と同じように4種類のスートがあります。スートはタロットの種類によって違いますが、日本で簡単に手に入るライダータロットは杖、剣、コイン、コップの4種類のスートです。基本的に各スートに優劣はありません。
各スートの数字は1から10までと、ペイジ、ナイト、クイーン、キングの絵札4枚を合わせて14種あります。トランプより絵札が1枚多いですね。
さらに切り札という種類のカードが0から21まであり、これらにはスートがありません。切り札について詳しくはトリックテイキングの説明を見てください。
これらのカードを使って簡単なものから超難しいものまで様々な種類のトリックテイキングを遊びます。
『パパユー』で遊んでみた
パパユーはフランスで遊ばれているタロットのゲームです。トランプゲームの「ハーツ」に少し似ているかもしれません。
78枚のタロットカード全部を使います。各スートの1が一番弱く、キングが一番強いです。
切り札は21の「世界」が最も強く、1の「魔術師」が一番弱いです。0の「愚者」のカードは特殊で、常に最弱扱いかつ下記のルールを無視していつでも出すことができます。
トリテとしてのルールは「変則ディール、マストフォロー、切り札あり、取ったトリックのカードはマイナスポイント」です。
少し詳しく書きます。
スタートプレイヤーがディーラーになります。ディーラーは全員に手札を何枚ずつ配るのか、左右のプレイヤーと何枚交換するのかを宣言します。
(例:6枚ずつ配ります、右のプレイヤーに2枚渡してください。など)
その後スタートプレイヤーは手札から一枚を場に出し(リードと言います)ます。
次の手番のプレイヤーは、
・リードされたスートが手札にあれば、その中の1枚を選んで出します。
・リードされたスートを手札に持っていなければ好きなカードを選んで出します。
全員が1枚ずつカードを場に出したら、切り札が出ていない場合はリードされたスートのうち最も強いカードを出したプレイヤーが場に出ているすべてのカード(トリック)を取り、自分の前に裏返しにして置きます。 切り札が出ている場合は最も強い切札を出したプレイヤーが取ります。トリックが終わるたびに全員が山札からカードを1枚ずつ取って手札に加えます。その後、トリックを取ったプレイヤーがリードプレイヤーになり、上記を繰り返します。
全員の手札がなくなったらゲーム終了です。山札に残ったカードは最後のトリックを取ったプレイヤーがすべて取ります。
得点について
ゲーム終了時に自分の前に裏返しに置いてあるカードの内訳が
・各スートのクイーンがあれば1枚につきマイナス50点
・切り札の1~21番はそれぞれのカードの数字がマイナス点
・それ以外のカードは0点
として合計します。
マイナス点の最も少ないプレイヤーの勝利です。
感想など
ライダー版タロットでトリックテイキングを遊んでみたまず最初の感想は、「遊びにくい事この上なし」です。ユーザビリティ度外視のデザインにもほどがあるという感じで、これではタロットではなくトランプカードが世界ナンバーワンのポピュラーなゲーミングカードになったのも納得です。ゲーム用にデザインされたタロットで遊べばもう少しましなのですが、入手の困難さで考えると手に入りやすいライダー版でなければ感想の意味もないでしょう。
上で紹介したのは「パパユー」だけですが、今回は「パパユー」「コントラ」「レセギーノ」の3種類のゲームで遊んでみました。
まず、カードが大きすぎます。トリテは手札を持ち続けるゲームなので大きいカードは扱いにくいです。特に日本人は手が小さくてトランプでさえ小さめのブリッジサイズが好まれるというのに、トランプのポーカーサイズをはるかに超える巨大なカードです。手に持って遊ぶものじゃないのかもしれないと思って途中からカードスタンドを使い始めました。
そして、スートと数字が読みにくいです。手札を確認するゲームで遊ぶときは四隅にスートと数字が描いてあってしかるべきだと思うのですがまったく考慮されていません。上部にローマ数字が小さく書いてあるだけなので手で扇形に持っていたら全く何のカードを持っているのか視認は不可能です。これが遊んでいて一番ストレスでした。
極めつけが「トランプで遊べるゲームより面白いという実感が一切ない」です。トリックテイキングのゲームは当然トランプでも各種あって遊べるのですが、ぜんぜんそれらより優れているように思えないのです。わざわざトリテ用の特殊なカードを使って遊んでいるのに、むしろトランプで遊びたくなってきます。トランプの麻薬的なトリテ「コントラクトブリッジ」や「ドッペルコップ」より優れたゲームもタロットにはあるのかもしれませんが、今回遊んだ3種はそう思えませんでした。
とはいえ今現在もヨーロッパ各地にタロットでトリテを楽しんでいる地方がたくさんあります。情報や物品が入手しやすい現代でも遊んでいるということは、トランプよりタロットを選ぶほど楽しく遊べる何かがあるはずなのです。まず使っているタロットがライダー版ではないとは思いますが、もし今回の体験を払拭してくれるほどの楽しさを味わえるのならもう一度遊んでみたいと思っています。
※追記 2023年にゲーム用タロットで遊んだ感想を記事にしました。驚愕の結果でした。
この記事を書くために「"Family Fun & Games" Sterling Publishing.1992」を参考文献にしました。