もくじ
『ワイナリーの四季・拡張「トスカーナ」』の簡単な説明
こんな感じのゲームです
感想など


『ワイナリーの四季・拡張「トスカーナ」』の簡単な説明

これは「ワイナリーの四季」の拡張セット「トスカーナ」の記事です。拡張「トスカーナ」単体では遊べません。プレイには「ワイナリーの四季」が必要です。
1~6人用。プレイ時間60~150分。この記事を書いている時点のBGGでは4人プレイがベストとなっています。
ルール難易度は普通。拡張なしよりは多少複雑かもしれません。僕はこの拡張セットを一度導入したら、これなしでは遊ばなくなりました。

この拡張「トスカーナ」では、「拡大ゲーム盤」「特殊労働者」「新設備」の3種類のルールとコンポーネントが追加されます。どれか1つだけでも3種全部入れでも遊べます。

トスカーナ
一年の計画表からしてもう違う

拡張が3種類ありますが、僕は拡張ボードを絶対に使います。それ以外の2つは気分によって入れない事もあります。拡張ボードによるプレイ感覚の変化が一番大きいです。

しばらく品薄だったのですが、最近再販となりました。2021年2月現在はまだ入手しやすいはずです。


こんな感じのゲームです

まず「拡張ボード」について

トスカーナ
基本のメインボードより明らかに大きい拡張ボードのA面

拡張ボードは「ワイナリーの四季」の基本ボードと差し替えて使います。完全に別ボードになる大規模拡張です。
拡張ボードには表裏でAとBの面があり、B面は拡張ボードと「新設備」を導入したルールで遊ぶときに使います。とりあえず今はA面のお話をします。

拡張「トスカーナ」の一番の売りであり変更点でもある拡張ボードには、春・夏・秋・冬、全てにワーカーを配置するアクションゾーンがあります。
基本ルールでは夏と冬にしかなかったので、かなりの変更です。
また、基本では春に行っていた一年の手番順を決める「起床計画表」をゲーム開始時と年末に行うことになり、さらにボーナスも多様化しました。

トスカーナ
大きく変わった起床計画表

スタートプレイヤーから起床計画を決めて、先手番を取るのか、より良いボーナスを取るのかを悩む点は基本と同じです。しかし「トスカーナ」では春夏秋冬の開始時に受け取れるボーナスが種類も回数も増え、いっそう先手番を取るかボーナスを取るかが悩ましくなりました。
また、冬に先にワーカーを配置し終わってパスしたプレイヤーから年末手順を行うので、スタートプレーヤーを交互に受け持つ事もなくなりました。

 

トスカーナ
春のアクションゾーン

基本での春は起床計画を立てていただけですが、拡張トスカーナではワーカープレイスメントを行います。
ブドウの樹カードを購入、観光客ツアー、建設、販促が行えます。
特に「ブドウの樹カードの購入アクションゾーン」を見てほしいのですが、2人プレイで試用するワーカー配置マスにボーナスの表記があります。基本の2人プレイでは配置ボーナスが無かったのですが、拡張ボードではアクションによってはボーナスが付いてきます。この事が2人プレイの楽しさを増幅してくれています。
また、新しい要素として「販促アクションゾーン」が増えました。これはボード左下に増えたイタリアマップを使います。

トスカーナ
販促マップ。イタリア各地に勢力を伸ばす

販促アクションでは新しく増えた星形のコマを使います。販促マップのイタリア各地に自分の販促ショップを置いていく感じです。販促コマを置いた時にその地方のボーナス(ピサなら2金)を貰えます。また、各地に置いた自分の販促コマの数が最も多いプレイヤーが、ゲーム終了時にその地の勝利点を得ます。

トスカーナ
夏のアクションゾーン

夏は夏季訪問者カードを使うアクション、植樹、トレード、畑の売買ができます。
新しいアクションとしては「トレードアクション」があります。これは「カードどれでも2枚」「3金」「1勝利点」「1ブドウ汁」を好きな組み合わせで売買できるアクションです。つまり3金払う代わりにカード2種類引いたり、1勝利点払う代わりに3金貰ったりと、自由な組み合わせを1回できるアクションです。
また、畑の売買アクションでは基本ではできていたブドウ汁の販売ができなくなりました。

トスカーナ
秋のアクションゾーン

基本ボードでの秋は季節訪問者カードを選んで引くだけでしたが、拡張ボードではワーカーを配置します。ただし、季節訪問者カードは引けなくなりました。
秋にできることは、受注カードを引く、ブドウの収穫、醸造瓶詰め、建設・観光客ツアーです。
収穫と醸造という大事なワイン作りのアクションが秋に2つ集中しているのと、春に続いて2回目の建設と観光客ツアーがあるのが特徴です。秋の建設・観光客は一か所にまとめられてしまいましたが、先にワーカーを置くと1金のボーナスが貰えます。

トスカーナ
冬のアクションゾーン

冬にできることは、冬季訪問者カードを使う、労働者コマを増やす、バルクワイン販売、出荷、です。
拡張で追加されたアクションは「バルクワイン販売アクション」で、これは瓶詰めされたワインを勝利点で売るアクションです。ワインのランクは関係ないので、上手く売るタイミングを考えないと大損しそうです。

1金を得るだけの市場アクションは四季を通じていつでも使えます。

誰かの勝利点が25点に到達した年を全員が終わるとゲームが終了します。基本ボードは20点でしたので5点多くなっています。
最終的に勝利点が最も多いプレイヤーの勝利です。
以上が拡張ボードの説明です。


2つ目の拡張「特殊労働者」について

特殊労働者ルールを導入する場合、ゲーム開始時に2枚の特殊労働者カードをランダムに選びます。その上にそれぞれに形状の異なるグレーの特殊労働者コマを置きます。

トスカーナ
特殊労働者カードとそれぞれの形状を示す灰色コマ

ゲーム中にプレイヤーが労働者の訓練のアクションを選んだ際に、1金を追加で支払うことによって特殊労働者を選ぶことができます。2種類の労働者はそれぞれ1つずつしか獲得できません。自分の雇うことができる労働者は、普通の労働者と特殊労働者を合わせて6コマが上限です。

トスカーナ
親方・普通・特殊の3種の労働者がいる個人ボード

特殊労働者は11種類あり、それぞれ強力な能力を持っています。普通の労働者と同じアクションを行うことができますが、そのアクションが能力に関係している場合、即座に能力が発揮されます。たとえば「マフィア」は、配置したアクションマスにボーナスがない場合、アクション終了時に追加で同じアクションを行うことができます。

以上が特殊労働者の説明です。


3つめの拡張「新設備」について

新設備を使う場合、拡張ボードのB面を使用します。ボードB面には新設備カードを置くスペースがある他、設備カードを入手するアクションが増えています。
次に、個人ボードの左側に拡張ボードを追加します。

トスカーナ
新設備を使う場合の個人ボードは左に追加ボードがある

設備カードをメインボードに配置して、ゲームを始めます。

設備カードを起床計画や販促マップボーナスなどで入手したプレイヤーは、建設アクションマスに労働者を配置した時に個人ボードに手持ちの設備カードを使用することができます。設備カードを置けるのは個人ボード左のエリアか、植樹していないブドウ畑です。

トスカーナ
設備カードの置き方

設備カードの設備は基本の建物よりも強烈な効果があります。設備カードは3種類に分かれていて、カードの上にワーカーを置くアクションが増えるアクション設備、継続的にボーナス条件を増やしてくれる強化設備、年末処理中にボーナスを与えてくれる追加ボーナス設備の3種です。どれも強力です。

以上で拡張3つの説明を終わります。


感想など

面白いゲームだった「ワイナリーの四季」に、拡張「トスカーナ」を導入したときに感じることは
1.ゲーム終了まで少し長くなる
2.ワインをちゃんと出荷しないと勝てなくなる
3.後半はお金が余るかもしれない
4.うわぁ、さらに良いゲームになったなぁ
です。

トスカーナ
2人プレイも面白くなった

カードによる勝利点ブーストが健在なので、相変わらずワイン作っているだけでは勝つのが難しいのですが、ゲーム終了点が25点になったので出荷による5~6点を取ることが容易になり、出荷の意味が大きくなりました。基本ルールではスパークリングワインを出荷する前にサクッとゲーム終了してしまうことが多かったのです。よりバランスの良いゲームになったと感じます。

トスカーナ
ピサで販促しまくってやった

販促マップのマジョリティ争いも面白さを追加してくれています。これのおかげで金策やカード取得の方法が一種類増えたので、みんな積極的に販促に手を出し、せっかくならマジョリティも取って勝利点ゲットしたいので悩ましさもアップしました。勝利点もですが貰えるボーナスが馬鹿にならないです。

基本ルールでは観光客ツアーと畑の売買だけやっている(僕のような)テーマパーク式経営者に、真面目に愚直にワインを作り続けたワイナリーが負けがちだったのです。拡張を入れてからはテーマパーク経営だけをやっているとまず勝てなくなったように思います。僕個人としては勝ち筋を失って忸怩たる思いですが、ゲームとしてはテーマに沿った意味で良くなったと思います。

特殊労働者と新設備はあまりにゲームの感覚が変わるので、気分で追加するかどうか決めています。特に新設備は別ゲー感が強く、運の要素が大きくなります。派手なゲーム展開が欲しい時にはぴったりです。

全体的に拡張「トスカーナ」を導入しない理由はないくらいに良い拡張だと思います。必須アップグレードなんじゃないかと思うくらいです。買ったはいいけど一度しか導入しないような拡張もボードゲームにはよくあるのですが、これは別モノでした。
「ワイナリーの四季」を持っているならぜひ導入してみてください。
そうそう、もう一つの拡張「ラインガウ」もそろそろ再販してほしいですね。