「クラバヤス」の遊び方と感想など

今回は、2人用トリックテイキングの最高峰とも言われるクラバヤスというゲームを紹介します。スイスやオランダで盛んに遊ばれている「ヤス」系のトランプゲームです。
ややこしい話ですがオランダなどで一般的な同名のゲームがありますが、それとは別です。今回紹介するのは別名「ベラ」とも呼ばれる英米で広く遊ばれている方のクラバヤスです。
トリックティキングがわからない場合は「ザ・クルー」の記事に簡単な解説があります。

遊び方

普通のトランプデッキから2~6を抜いた32枚を使います。ジョーカーは使いません。
ディーラーはお互いランダムにドローして小さい数字のカードを引いたプレイヤーから行います。ゲーム開始後は毎回ディーラー交代します。

まず3枚ずつ2回配ります。残りのカードは山札として場に置きますが、一番上のカードを「切り札候補」として表向きにします。これは山札に対して直角にしてスートマークが見えるようにして山札の底に置きます。

ビッド
ノンディーラーからビッドします。ビッドは単に切り札候補のスートを切り札にするか、パスするかだけです。パスならディーラーが同様のビッドを行います。双方がパスの場合、2回目のビッドで表示スート以外のスートを切り札に指定するか、パスするかをビッドします。それでもまた双方パスならそのラウンドは流れ、ディーラー交代して配り直します。
ビッドを通した方のプレイヤーを「メーカー」と呼びます。
ビッドが終わったら、ディーラーは山札からさらに3枚ずつ配ります。つまり手札は合計9枚になります。
山札の一番下のカードを1枚表にして山札の上に乗せます。これはゲームとしてはあまり意味がなく、一種のヒントとして公開されるだけのカードです。

切り札7の交換
切り札表示カードが切り札スートに決定した場合(つまり一週目のビッドでパスしなかった時)のみ、切り札スートの7を持っているプレイヤーはこれと交換できます。これは以下のメルドの宣言の後でもできます。

メルド
プレイの前にメルドの宣言ができます。メルドはストレート役のような同スートの3枚以上の続きシークエンス役のことです。
メルドではA・K・Q・J・10・9・8・7の順で作ります。
3枚メルドで20点、4枚以上で50点。
シークエンス得点が貰えるのは強いシークエンス役(メルド点が高い、一番上のランクが高い、切り札の順で強い)の方だけです。

メルド宣言の仕方
ノンディーラーの方から「なし」「20」「50」のどれかを宣言します。
ディーラーは「私の勝ち」「あなたの勝ち」「同じです」などと答えてください。
「同じ」だった場合、ノンディーラーの方がシークエンスの1番上のランクを宣言して、もう1人も宣言します。
これも同じなら切り札かどうかを同じように宣言します。
最も強いメルドのシークエンスの方がメルド全てを公開して得点を得ます。このとき手札に複数メルドがある場合は、その両方の点をもらえます。
メルドは宣言しなくてもいいです。その場合は当然得点はもらえません。

プレイ
ノンディーラーからリードします。マストフォローのトリテですが、以下の特別ルールがあります。
・切り札リードの場合、勝てる切り札があれば絶対に出さなければいけない。
・切り札以外のリードの場合、マストフォローできない場合は切り札を出さなければいけない。

カードの強さ順がヤス系のゲーム独特のものなので注意してください。

          カードの強さ
切り札   (強)J、9、A、10、K、Q、8、7(弱)
切り札以外 (強)A、10、K、Q、J、9、8、7(弱)

ベラ宣言
切り札のKとQを持っていた時は、このうちの2枚目をプレイする時に「ベラ」を宣言して20点を得ます。

最後のトリック
最後のトリックを取ったら追加10点を得ます。

得点計算について

カード点

A   11点 10   10点 K   4点 Q   3点 J   2点
切り札のJ 20点 切り札の9 14点      

メルド点、ベラ点、トリックで取ったカード点の合計、最期のトリックの10点を合計します。
メーカーが相手より得点を多く取っていたら双方がそのまま得点します。
同点の場合はメーカーは0点で、相手はそのまま得点を得ます。
メーカーの方が得点が少なかった場合、メーカーは0点で相手は2人の得点の合計点を得ます。

どちらかが500点到達したらゲーム終了です。

特殊役の得点一覧

メルド 3枚   20点 メルド 4枚以上 50点 ベラ       20点 最後のトリック  10点

感想など

これも「シュナプセン」と同じように、なんだかルール読んでもピンとこないなぁと思って敬遠していたゲームです。意を決して遊んでみると、メチャクチャ面白いことがわかりました。
それでもシュナプセンよりさらに取っ付きにくいです。その難解さの一因は間違いなくヤス系に共通する「J」と「9」の扱いでしょう。
ヤス系ではなぜかJが最強切り札になります。次が9。全く意味が分からないですが、そういうものなので慣れるしかありません。そもそも「A」の次に強いのが「10」である欧州ポイント系トリテは日本人としては馴染みがないのですが、さらにJと9が入るのでややこしくなります。

僕は欧州ポイント系トリテは一度慣れてしまうと超面白いと思っているので、ぜひ一般的になってほしいのです。特に「ドッペルコップ」と「スカート」はもっとプレイ人口が増えたらいいのにと常々思っているのですが、ほとんどプレイする人がいません。トリテ好きなら絶対に楽しめるはずです。面白いですよ。

このクラバヤスは他に大量にあるヤス系ゲームの入り口としてというよりも、これ単体で一生遊べるくらい奥深く面白いゲームだと思います。配り切りではないのでかなり運の要素もありますし、そもそもメルド宣言があるので手札運がとても大きいです。そしてもちろんこれに慣れてしまえば「スイスのヤス」も「フランスのBelote」も、ヤス系のゲームをすぐに理解して遊ぶことができるようになるでしょう。
難解なようですがトリテにさえ慣れているならすぐに理解できると思います。
2人用トランプゲームとしては「クリベッジ」「シュナプセン」と並んでおすすめのゲームです。