もくじ
・『ウォーターゲート』の簡単な説明など
・こんな感じのゲームです
・感想など
『ウォーターゲート』の簡単な説明
2人プレイ専用。プレイ時間30分~60分。2人専用ゲームなので2人プレイがベスト。
ルール難易度は普通。一回プレイすれば理解できるくらいの難易度です。非対称2人用ゲームの傑作だと思います。
「ウォーターゲート」は1970年代に現実にあったウォーターゲート事件がテーマのゲームです。各プレイヤーはニクソン大統領側か、ワシントンポストの新聞記者側の立場となります。ニクソン大統領側は任期満了まで盗聴事件への関与をごまかし続けられれば勝利。新聞記者側はニクソンの任期満了までに盗聴事件への大統領の関与を立証できれば勝利です。
小難しいテーマのように感じるかもしれませんが、ゲームとしてのルールは難しくありません。
正直言ってウォーターゲート事件のことを何一つ知らなくてもゲームプレイは問題なくできるのですが、知っていると楽しさが3倍くらいになると思います。
実際の事件がビックリするような事だらけで、ウソでしょと思うような事が次々と起こるので漫画や映画なみに面白いです。よく映画の舞台になる時代でもあるので、ウォーターゲート事件のことを知っていると様々な映画も理解が深まります。Wikipediaなどであらましだけでも一読をおすすめします。
(外部リンク:Wikipedia ウォーターゲート事件)
残念ながら2021年2月現在、日本語版はありません。カードにちょっと英文があるので、英語が苦手な場合は和訳を用意したほうが良いかもしれません。僕は和訳シールを貼って遊んでいます。
こんな感じのゲームです
ニクソン側プレイヤーと新聞記者側のプレイヤーは、やることも目的も全然違う非対称なルールで遊びます。
ニクソン側プレイヤーは証拠タイルを黒袋からランダムに3つ引いて、こっそり確認した後に裏返しにしてボードの綱引きスペースに置きます。
その後、主導権を持つプレイヤーは5枚、もう一方のプレイヤーは4枚を自分のデッキから引いて手札にします。
ニクソン側のプレイヤーは、事件とは無関係であると任期満了までしらを切り通すことを目指します。そのためには証拠の隠滅や、証人の口をふさぐなどの汚い手段を駆使しましょう。
ワシントンポスト記者側のプレイヤーは、ニクソン大統領の任期満了までに証拠と証言を集め、2つの証言をニクソンまでつなげることを目指します。政府の圧力に屈さずに粘り強く調査しましょう。
赤い時間トークン、白い主導権トークン、3つの裏返しになっている証拠タイルを両陣営間で綱引きします。
綱引きはカードを交互にプレイすることで行います。
カードの左上に書いてある数字とアイコンは「黄色の証拠タイル または 赤白トークンどちらかを綱引きスペース3マスぶん引っ張る」というような意味です。使用したカードは自分の捨て札山に捨てます。デッキがなくなったら捨て札山をシャッフルして山札にします。
カードを左上の数値で使わずに下半分に書いてあるイベントとして利用すると、強力な効果を発動する代わりにそのカードはゲームから除外されて、二度と引くことができなくなります。(効果発動しても除外されないカードもあります)
各プレイヤーが手札を使い切ったら1ラウンド終了です。その時点で綱引きスペースの各陣営側に置いてあるトークンや証拠タイルを取得します。
このとき、赤い時間トークンをニクソンが5つ集めたらニクソン側の勝利で即ゲーム終了です。
白い主導権トークンを取得した陣営は、次のラウンドから手札が5枚になり、先にカードをプレイできるようになります。
証拠タイルは青・緑・黄の3色あります。複数色のタイルもあります。
タイルの裏を知っているのはニクソン側だけなので、記者側から「このカード使います、青色のタイルを2つぶんこちらへ」などと言われたら、ニクソンは3つのタイルから自分に都合の良いタイルを選んで(タイルの色に関して嘘はつけません)動かします。記者側に移動したタイルは表向きになります。
証拠タイルを取得した陣営は、ゲームボード左側の対応する色のマスに自由にタイルを置けます。このとき、ワシントンポスト記者側のプレイヤーが、ニクソンと証人を2つ繋げたら即ゲームに勝利します。
ただし、ニクソン側が証拠タイルを取得した時は、裏返しの黒塗りタイルを置くことで証拠隠滅としてそのルートを断ち切ることができます。
証拠タイルを使ってニクソンとつなげることができる証人は、ゲーム開始時点で7人います。
この証言者たちは最初は表舞台に出ていないのですが、ワシントンポスト記者側プレイヤーがカードをイベントとして使用することでボードに召喚されます。
この証人たちを、最低でも2人は召喚しないと絶対に記者側プレイヤーは勝利できません。
ところがニクソン側には口封じカードがあります。
ニクソンに口封じされた証人タイルは黒く塗りつぶされ(タイルの裏面です)、証言できない状態でボードに置かれます。こわい。
まとめると、ニクソン側は赤い時間トークンを5つ取得したら勝利。記者側はニクソンと証人の間を2つ繋げたら勝利。
1時間以内にゲーム終了することが多いです。
感想など
ゴールデンギークアワードの「ベスト2人用ゲーム賞」を受賞、というニュースを見た時からプレイしたくて仕方がなかったゲームです。テーマ的にいくら待ってても日本語版は発売されなさそうだと判断して、海外輸入で購入しました。今は国内でも若干流通してるようです。
遊んでいると『大統領の陰謀』『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』などの映画を観たくなるゲームです。それらの映画を観ておいた上でワシントンポスト記者側でプレイすると、主人公気分で遊べるのがとても良いです。絶対にニクソンのしっぽを掴んでやるぞ、と執念を燃やす記者になりきって遊びました。まぁ初回プレイ時はボロ負けしましたけれども。
じゃあニクソン側でやってみるかと再度プレイしました。
めちゃくちゃ面白いです。僕の性格的に真実を追求する記者よりも、悪事を権力でもみ消そうとする姑息な権力者の方が向いていたようです。
次々と証言候補者を闇に消し去り、証拠を黒く塗りつぶして、どうした下級市民めがウハハハとやっていたら、すっかり赤い時間トークンを取るのを失念していて膠着。そのうち記者側のカード「ディープスロート」の効果で消したはずの証言者が地獄から甦り、バシッと証言。また負けました。
このゲーム、あきらかにニクソン側は綱引きに強いカードが多くなっています。記者側は証拠タイル集めに強いです。ニクソンは序盤から赤い時間トークンを取りやすいし、証拠タイルも取ろうと思えば自由自在です。ニクソンは速攻です。逆に記者側は勝利するための証拠タイルがある程度の数必要なので中盤まで苦しいのですが、証拠が揃いつつある後半にはもう記者を止めることができなくなります。
(後日追記:何回かプレイしてみたところ、ニクソン側がじっくり耐えて、記者側が速攻の方が説明として正しい気がしてきました。プレイヤーが2人ともゲームに慣れてくると、ゲームが長引いた場合に記者側が勝つ率がとても低くなったのです。記者側はカードをイベントとしてどんどん使わないと勝てないのかもしれません。正反対のことを言い出してしまってすみません。あとは皆さん自身で試してみてください。)
そして、このゲームは主導権が非常に大事です。手札が1枚多いのと、先にカードプレイができるのは強烈なアドバンテージです。大統領側だろうが記者側だろうが、赤い時間トークンなんか放置してでも白の主導権トークンを取るのです。
それさえ理解していたら勝ってたはずなのに口惜しい!(たぶんそんな事もないです)
ニクソン大統領側になって「えー、ここで質疑応答は終了とさせていただきます失礼」と突然ラウンド終了を宣言するカードを出すのも良し、「先ほどからワシントンポストの記者君が言っている、ええとボールドウィン氏?だったかな?その人物は今どこにいるのかね?」とニヤニヤしながら証人を口封じするのも楽しいです。また、ワシントンポストの記者になって「大統領秘書がテープを誤って消したという時の姿勢は無理がありすぎる!まるで柔軟体操でもしているかのようですよ!?」と詰め寄るのもまた楽しいです。
どのゲームにも言えることですが、多少のロールプレイがゲームに華を添えて、面白さを3割増しくらいにしてくれると思っています。
同様なカードドリブンシステムの「トワイライト ストラグル」と比べてプレイ時間が短く、とても遊びやすい上に面白いです。2人用ゲームのおすすめリストを作るとしたら必ず入れるくらい面白いので、プレイする機会があったら是非遊んでみてください。