もくじ
・『トワイライト・ストラグル』の簡単な説明
・こんな感じのゲームです
・感想など
『トワイライト・ストラグル』の簡単な説明
2人用。プレイ時間120分~。この記事を書いている時点のBGGでは総合ランキング10位。
ルール難易度はやや複雑。東西冷戦の45年間を戦い抜く史実系ゲームの最高峰です。
「トワイライト ストラグル」で各プレイヤーはソビエト連邦とアメリカ合衆国のどちらかの陣営としてプレイします。第二次大戦直後からスタートし、歴史的な出来事を自分に利するように活用しながら世界の国々へ自国の影響力を強めていきます。核戦争を回避しつつ世界の覇権を握った陣営の勝利です。
BGGランキングのトップに君臨していたこともある超が付く名作ボードゲームです。しかしそのプレイ時間と内容の重さで気軽に手を出せないゲームでもあります。プレイ時間はだいたい3時間以上はかかると思った方がいいです。じっくり勝負してくれる相手がいるなら経験しておいて損はないです。
大量に使うカードに言語依存があります。完全日本語版をオススメします。
こんな感じのゲームです
簡単に言うと「手札から1枚ずつカードをプレイして、カードの効果で世界地図に自陣営の影響力マーカーを置いていく」ゲームです。全10ラウンドのゲーム終了時に世界への影響力が大きいプレイヤーが勝ちます。
カードには2つの使い道があります。
左上の数字のポイント分を世界地図に影響力を置くか、カード下部のイベントテキストの効果を使用するかです。
カードは米ソどちらかの陣営が有利になるカードと、どちらにも属さない国連カードに種類分けされていますが、手札に入ってくるのはランダムなので敵側のカードが手札に来ることもあります。手札のカードは何らかの方法で必ず使わなければいけないので、敵陣営カードを出すタイミングに悩むことになります。
長いゲームなので序盤の山札のカードだけでも多いのですが、4ラウンドに入ると大量の中盤戦カードが山札に追加されます。8ラウンド目でも終盤戦カードが追加されます。それぞれ現実の時間軸に合わせた事件などのカードです。
ラウンドの大まかな流れを書いておきます。
1、デフコンレベルが1回復するフェイズ(デフコンレベルが1になると全面核戦争が勃発。その責任として、その時の手番のプレイヤーが敗北する)
2、手札を8~9枚補充するフェイズ。
3、ヘッドラインフェイズとして各プレイヤーは手札から一枚カードを選んで、同時に出す。これは必ずイベントとして使われる。左上の数字が大きい方から先に解決する。
4、ソ連プレイヤーから交互に手札を1枚ずつプレイする。手札があるなら必ずプレイしなければいけない。カードの効果をその都度解決していく。
5、軍事力判定で必要軍事力を満たしていない陣営があれば相手陣営に勝利点を渡す
6、チャイナカードが裏になっていたら表にして次のラウンドへ
大まかには以上になります。
とはいえ手札のプレイの段階でやれる事が多く、以下に少し紹介しておきます。
まず基本的なこととして、カード左上の数字のポイントをすでに自陣営の影響力が置いてある国に隣接している国へ影響力として置くことができます。
上の画像だと、アメリカ陣営の場合は青の星マークが置いてある国に隣接している国へ置けます。ソ連は赤のマーカーが影響力マーカーです。
またはカード左上のポイントを使って、特定の国の相手陣営の影響力を減らす工作を行うこともできます。ダイスを振って、既定の数字以上出せば成功します。
更に難易度は上がりますが、クーデターを起こして特定の国の影響力を逆転することもできます。
これらはデフコンレベルによって挑戦可能な地域が変わります。
カード下部のイベント効果は強力なものが多く、一度イベントとして使うとそのカードはゲームから除外されるものが多いです。
ちなみに相手陣営のカードを出した場合、相手陣営がそのカードをイベントとして使います。左上のポイント数はカードを出した方が使えますが、イベントが先かポイントが先かは相手陣営が選びます。
当然、絶対にプレイしたくない相手陣営の強力なカードなどが手札に来てしまう事もありますが、手札のカードは基本的に使わなければいけないので困ります。そこで唯一イベントとして相手陣営カードを使わなくていい方法が宇宙開発競争です。
1ラウンドに1枚だけ、宇宙開発にカードを使うことでそのカードを捨て札にできます。(宇宙へ飛ばすと言います)
宇宙開発でも相手に先んじていればボーナスがいろいろと手に入るので、こちらも上手く回していく必要があります。成功判定はダイスです。
途中途中で地域のスコア集計カードというものがあり、それによって勝利点が前後します。
勝利点トラックは綱引き型です。アメリカ側が1点取るとソ連側が1点失います。どちらかが20点先取したらその時点でゲーム終了になります。
世界規模で各地の得点集計があるので、世界中の国に影響力を置く必要があります。
全面核戦争もなく、どちらの陣営も勝利点が20点に行かなかった場合、10ラウンドでゲーム終了です。最終得点計算をして勝者を決めます。
感想など
これはヤバいゲームです。もともと僕のゲーム仲間はプレイ時間が長い傾向があるのですが、このトワイライト・ストラグルは大変でした。総プレイ時間7時間を超えたと思います。
歴史や冷戦について興味があってそこそこ本などを読んでいた僕はまだよかったのですが、近代世界史にまったく興味がなかった友人はあまりの苦痛にトラウマが植え付けられたらしく、「トワイライト・ストラグル」を7時間かけて遊んだうえに惨敗した後はもうカードドリブンを見ると怯えるようになってしまいました。
カードドリブンシステムのゲームは史実系のゲームが多く、以前記事に書いた「13ミニッツ」や「ウォーターゲート」などがカードドリブンです。しかしトワイライト・ストラグルを遊んで以降は、それらの比較的軽量級なゲームすら拒絶されるようになってしまいました。友人の心に刻まれた恐怖がどれほどだったかよくわかります。
個人的には好きなゲームなので機会があれば遊びたいのですが、いかんせん時間がかかるのと同じような犠牲者を生みたくないので現実世界では諦めました。PC版のゲームソフトが出ているので、そちらで遊んでいます。ただしこっちは英語版なので慣れるまで大変でした。
見た目に反してウォーゲームではないので、歩兵ユニットを動かして陣地取りをするような事はないです。世界各国の出来事に裏で糸を引いて影響力を増やしていくだけなので表立ってバチバチやり合う事はないのですが、遊んでいるとあの時代、世界中にこの2大強国が影響しすぎだったのがよくわかってドン引きします。カードを眺めていると「あーこの事件もソ連が得してたの」「この条約は相当痛手だったんだな」などと暗黒の冷戦時代史の理解が深まっていきます。そういうのが好きなら本当にオススメなのです。
このゲーム前半はソ連がものすごく有利です。アメリカ側が気を抜いていると前半であっという間に終わることもあるんじゃないかと思うくらい有利です。そして後半になるとアメリカが手を付けられないくらい強くなります。中盤以降はアジアの得点と中東が非常に重要になっていくと思います。実はヨーロッパの支配権を取るとその時点でゲームに勝利するのですが、ほぼ無理だと思っています。それに欧州だけにこだわるとアジアや南米で大きく点差をつけられそうです。
カード自体の強弱もかなりあり、イベントで使っても大して強くないカードもあれば、絶対イベントで使っておきたい強烈なカードもあります。その辺の見極めができていないうちは面白さも半減かもしれません。相手陣営のイベントカードで強烈なものは絶対に宇宙へ飛ばさなければ負けますので。
長時間ゲームなのにやればやるほど面白くなっていくスルメゲー、しかもテーマは東西冷戦ということで、とてもとても人を選ぶのは確かです。それでもテーマ的に嫌いじゃないなら一度遊んでみてほしいゲームです。なんといってもBGGランキング1位になっていたことがあるような稀有なゲームなのです。