ブラッディ・インの感想など

ブラッディ・インってなんでしょうか。直訳すると「血まみれ宿」ですね。これはフランスで1831年に実際に起こった連続殺人事件がテーマのゲームです。
この事件がものすごくて、ペイレベイユという村の宿屋で宿の主と女将、さらに使用人が共謀して50人以上の宿泊客を殺害して所持金を奪っていたとされるホラー映画のような凄惨な事件です。
さて我々プレイヤーは、この宿に泊まった客として悪夢の一夜をサバイバルするゲームだと思いますか?いいえ。
プレイするのは殺人宿の主と女将のほうです!

簡単に言うと他のプレイヤーより効率よく宿泊客をアレして、お金を稼いだら勝利というひどい内容なのですが、これ面白いです。
カードゲームなので手札がありますが、これは共犯者です。毎ターンお金を渡す代わりに一人では処理できない客を数人がかりで処理したり、遺体を隠す建物を提供してもらったりするのです。
ドローフェイズなどないこのゲームでの手札の増やし方は、泊りに来た宿泊客をスカウトして悪の道へ誘うことで増やします。この宿に泊まりに来た客は殺されるか強盗殺人の共犯者になるか、何も知らずにチェックアウトするかの3択なのです。

ブラッディイン
手札。金に困った子爵など3名が共犯者になっている

この宿の部屋は8部屋で、おかげさまで大盛況のため毎ラウンド満室になります。上の画像のメインボード左の入口側の山札はこれから来る客のカードが、出口側には生きて帰れた客の捨て札山があります。手番順に「この客は共犯者にしよう」、「この客はアレしよう」などと1アクションずつ行い、各プレイヤー2アクション終了で部屋に残った客は帰り、次のラウンドが始まります。これから来るお客の山札がなくなったら前半終了。生きて帰れたお客のカードを再度入り口に置いて後半がスタートします。


このゲームを面白くしている要素がいくつかあり、ひとつは「宿泊客を殺しただけではお金は手に入らない」です。遺体をどこかに埋葬しない限りその客の持っていたお金はもらえないのです。遺体を埋葬するには共犯者の持つ建物が必要になります。そして、埋葬する建物は他プレイヤーの持つ建物でもかまいません。その場合の獲物のお金は折半になります。

もうひとつの要素は「宿泊客に警察関係者がいた場合、ラウンド終了までに遺体を埋葬しないと捕まる」のです。捕まるというか多額の賄賂を渡さなければいけなくなります。当然遺体は手元から失われ、埋葬前なのでお金もまだ奪えていないまま大赤字になります。一度でも悪事が警察関係者に露呈したらこのゲームに勝つのは厳しいと思います。
さて、他プレイヤーがお金持ちをアレして2アクション目で埋葬しようとしています。その前に彼の埋葬予定地にあなたの手元にある遺体を埋めてしまったらどうなるでしょうか。折しも今日は警部補が巡査を連れて宿泊しているようです…。

ブラッディイン
カード裏面は物言わなくなった客。貰える金額と埋葬するために必要な共犯者の人数が書いてある。

他にもバーで飲んだくれてる地元の農民を安く共犯者にするとか、小切手にしないと現金はたくさん所持できないとか、共犯者への支払いは現金のみなどなどいろいろと楽しくなるように工夫されています。


ゲームプレイ中の会話が凶悪犯そのものなので、音声だけ聞いていると本当にヤバい人たちに聞こえるはずです。以下は僕が4人プレイした時、ゲーム中に本当にあった会話です。
「じゃあ、この新聞記者をころすよ」「あー!先にやられた!俺がヤろうと思ってたのに!」「えっどこに埋めるの」「お前の納屋」「やめろよ、うちの納屋は司教を埋める予定なんだよ!」「今日は巡査ひとり泊ってんだぞ」「巡査なら誰か共犯に誘えばいいよ」「やっちゃう方が簡単じゃない?」「じゃお前やれよ」「嫌だよ死体3個になっちゃうよ」
どうでしょうか。世も末。お子さんがいたら絶対プレイできないゲームです。

内容がブラックである以外にも、ルールに多少混乱する部分があったり、通常プレイだと想像以上に長時間になるなど欠点もいくつかありますが、悪人を演じるという面白さが際立っています。
勝とうと思って真面目にプレイすると、かなりキツいハンドマネジメントとカードカウンティングが必要になります。パーティゲームのつもりで悪人ロールプレイをするのが楽しいですよ。あまり類似ゲームが思い当たらない良いゲームだと思います。ちなみにソロプレイが非常に面白いゲームでもあります。