もくじ
『Q.E.』の簡単な説明
こんな感じのゲームです
感想など


『Q.E.』の簡単な説明

3~5人用。プレイ時間45分~。この記事を書いている時点のBGGでは5人プレイがベストとなっています。
ルール難易度は簡単。所持金無限という異常な競りゲームです。

「Q.E」とは経済用語で「量的緩和政策」の事を意味します。各プレイヤーは担当する国の中央銀行となって、倒産させるには規模が大きすぎる国内外の企業を救済するために公的資金を投入します。ちょっと難しいテーマですがゲーム自体はシンプルなルールで、しかも大盛り上がりするかなり変わったゲームになっています。

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ホワイトボード的に直接書き込む

4人でプレイしても大盛り上がりする面白いゲームでしたが、5人だともっと楽しいと思います。ゲーム自体はぜんぜん難しくはありません。

言語依存はほとんどありません。2021年7月現在、日本語版はありませんが、日本語説明書付きも流通しているようです。


こんな感じのゲームです

簡単に言うと競りで企業タイルを集め、最終的に集めた企業タイルでセットの役を作ることで得点を得るゲームです。

各プレイヤーは自分の国を選び、得点ボードと入札ボードを受け取ります。

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日本の入札ボード

秘密の優先企業タイルをシャッフルして各プレイヤーに1枚ずつ配ります。これは他のプレイヤーには見せません。金融・政治・農業・不動産・製造業の5種あり、ゲーム終了時の得点計算に追加の企業として加算します。

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自国の優先企業タイルは裏にして隠しておく

企業タイルを裏面にしてシャッフルし、重ねて場に置きます。企業タイルには国と種類、勝利点が書いてあります。
金融・政治・農業・不動産・製造業の5種類が各国ごとにあり、それぞれの勝利点は国によって違います。

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企業タイル。国ごとに5種類ある。

スタートプレイヤーを決めたらゲーム開始です。
スタートプレイヤーから順番に競売主の役割を行います。
1、競売主は企業タイルの山から1枚表向きに公開します。そして、入札ボードにその企業タイルに出しても良い入札額の金額を書き、それも場に公開します。
2、他の各プレイヤーは競売主の提示した入札額を確認したら、自分の入札ボードに入札額を書き、裏向きの状態で競売主に渡します。
3、競売主は他の人に見られないように全員の入札を確認し、最も高い入札を行ったプレイヤーに企業タイルを渡します。その際、企業タイルの裏面に落札額を記入して渡しますが、これも裏向きの状態で他のプレイヤーには金額がわからないように渡します。
4、左隣のプレイヤーが競売主となり、同じように繰り返します。

重要な点:入札のために書き込む金額に上限はなく、所持金は無限にあるものとします。最高額が同額入札だった場合は、1つ下の金額で入札したプレイヤーが落札します。

競売主が一周したら1ラウンド終了、4ラウンド終了ですべての企業タイルが競売にかけられゲームが終了します。
最終得点計算をして、最も高額な支払いをしたプレイヤーは即座にゲームに敗北します。残ったプレイヤーの中で一番得点の高いプレイヤーの勝利です。


得点計算について

ゲーム終了時に得点ボードに記入していきます。

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日本の得点ボード

得点ボードは上から
・落札した企業タイルに書いてある勝利点の合計点
・入札額に0と書いたら1ラウンドに1回だけ2勝利点が得られるので、その回数分の合計点(ここだけはゲーム中にチェックを入れていく)
・落札した自分の国の企業タイルの枚数による点数
・落札した同じ種類の企業タイルによるセット点数
・落札した企業タイルの種類の数
・最も少ない金額しか使わなかったプレイヤーは6勝利点ボーナス

最初に配られた秘密の優先企業タイルも落札した企業タイルとしてセットに加えて計算します。
以上全てを合計して最終得点とします。


感想など

小難しそうなテーマですが、「量的緩和政策」の意味がよくわからなくても盛り上がる面白いゲームでした。とにかく単純なルールなのにおかしい(異常という意味)のです。ルールが破綻してそうな感じがするのですが、遊ぶとちゃんと楽しく遊べるようになっているのが不思議です。

競りゲームと言うと「バザリ」や「ハイソサエティ」あたりがすぐ思い浮かびます。そういう競りゲームならふつう所持金があるものです。お財布の範囲内でやりくりして「これはなるべく高く吊り上げて他のプレイヤーに落札させるけど、次の出品はがんばって競り落とすぞ」というようなプレイをします。それなのにこの「Q.E.」では所持金が無限なのです。1億と書いて入札したっていいし10兆と書いてもOKです。

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800で提示されたものを80,000で落とすことだってある

とはいえ「Q.E.」でも最終的に最もお金を使ったプレイヤーはゲームに敗北することになっています。他のプレイヤーが1100円と書いているのに10億円!と書いたらその企業タイル1枚は落札できるでしょうがゲームには負けてしまいそうですよね。ところがそうでもないのです。これがこのゲームの恐ろしい所です。ちなみにこのゲームでは統一為替と言うか、入札ボードに1ドルと書いても1円と書いても同じ価値として扱います。実際は基軸通貨建てで計算してるテイなのでしょう。

僕が中国を担当していた4人プレイ時にあった事ですが、僕が競売主の時に中国の農業タイルが競りに出ました。当然中国を集めている僕は高めの8000元で入札提示します。他のプレイヤーは0だったり10だったりやる気がない入札額です。しかも口々に「8000は高すぎる」、「金使い過ぎで中国は負け確定」などと言うわけです。ところがゲームが進むと、競り落としたい企業タイルが競りに出た時に皆(あの時中国は8000使ってるから7999までは絶対安全圏なんだ)と考えるようになります。全員がそう考えるだろうと容易にわかるので(ならもう少しだけ上乗せしてこれだけは絶対に競り落とそう、まだ競りは続くから大丈夫)とやはり皆が同じように考えます。
その結果、ゲームが進むと入札額がどんどん吊り上がり、競売主の入札提示額が25,000だったりするようになっていきました。最終的には僕が担当する中国が最高得点でゲーム終了となったのです。企業タイルを後半大量に競り落としていた欧州のプレイヤーがお金を使いすぎていて脱落しました。

つまり、ゲーム序盤に入札ボードに1000と書こうが10と書こうがあまり変わらないのです。絶対に落札したければギリギリまで高い金額を書くしかなく、そして落札しなければゲームには絶対勝てないのです。プレイするメンツによっては非常に低い金額で1金を争う事になる可能性もありますが、競売主になった時の2回くらいのある種の小演技でその場の雰囲気を崩すことができるはずです。こうなると心理戦ですが、疑心暗鬼はインフレへの入り口です。
競売主だけがその競売に全員が入札額をいくら書いたかを知っているので、競売主になると全員が他のプレイヤーの入札ボードを見るたびに笑ってしまいます。そのつど落札できなかったプレイヤーは(爆笑するほどの金額で落札したのか、なら次はまだ金額上乗せしてもいける)と思ってしまうのです。

心理戦であり、記憶ゲーであり、バカゲーでもあります。僕はこんなゲームが大好きです。箱のデザインやテーマは堅苦しい小難しいものですが、その中身はとても楽しいシンプルなワイワイゲームでした。もう僕のオールタイムベストのひとつと言っても良いかもしれません。それくらい楽しめました。