もくじ
・『狂気山脈』の簡単な説明
・こんな感じのゲームです
・感想など


『狂気山脈』の簡単な説明


3~5人用
。プレイ時間60分~90分。この記事を書いている時点のBGGでは4~5人プレイがベストとなっています。
ルール難易度はやや簡単。ホラーゲームかと思いきやパーティゲームなのでした。

『狂気山脈』はH・P・ラヴクラフトの『狂気の山脈にて』という小説が元になっているゲームです。
南極探検をしていた探検家たちが、南極の奥深くで真っ黒い山脈を発見します。謎の人工建造物や生物の痕跡、気味の悪い遺物などと遭遇しつつ、全員で協力して狂気の山脈を脱出するのが目的です。ただし、人間の精神では受け止めきれない出来事の連続に、隊員たちの心はどんどん壊れていきます。意思の疎通すら困難な中、試練を解決していけるでしょうか。
いわゆるクトゥルフものと言っていいと思いますが、パーティゲーム感が強いので、多人数でやるほど楽しいと思います。

狂気山脈

かっこいい箱絵

3人からプレイ可能ですが、絶対に4人以上でやる方が楽しいと思います。広い部屋でテーブルの周りを自由に動けて、多少騒いでもOKな環境が無いとプレイに支障をきたすかもしれません。

狂気カードに言語依存が多少あるので、手に入るなら日本語版にしましょう。2021年2月現在では入手しやすいです。


こんな感じのゲームです

リーダーを時計回りに順番に担当しながら、タイルがたくさん置かれている狂気の山脈を遺物集めしながら登っていきます。
やることは基本的に、次はこの場所に移動するとリーダーが決めた場所のタイルをめくって、そこに書かれている「武器」や「物資」などの必要数を、皆で手札からカードを出し合って集めましょうという簡単なゲームなのです。うまくお題をクリアできればアイテムや回復などのご褒美があります。失敗すると狂気カードをゲットです。

狂気山脈

ボードの反対側に座っていたので、山頂側から見た図になっています

まずタイルをめくったと同時に30秒の砂時計を反転させて相談タイムがスタートします。リーダーが「このタイルは武器が11必要!武器の数字言って!」などと言うと、隊員たちが「僕の武器は7です!」「武器4です!」と30秒の時間制限内で手持ちのカードの内訳を伝えます。リーダーは「じゃあA君とC君だけ武器カード出して!」と話をまとめて、時間切れを待ちます。

狂気山脈

「物資」の4のカード。

時間になったら全員黙って必要と思われる分のカードを出し、ちゃんとタイルに書いてあるお題の数字をクリアしていれば成功です。失敗したら狂気カードを誰かが引き受けなければいけません。狂気カードは受け取った本人しか内容を知りません。

具体的に狂気カードを持っているプレイヤーに何が起こるかというと、30秒の相談タイム中、狂気カードの内容に従わなければいけなくなります。どんな狂気なのか30秒ではちょっとわからない位の軽微なものから、これはもう意思の疎通が無理だというものまで様々です。

狂気の果て

飛行機コマや砂時計もコンポーネントとして入っている

山頂の「狂気の果て」に行くまでに遺物をなるべくたくさん持ち帰りたいのですが、どんどん意思の疎通ができなくなるのと、ペナルティダイスなどもあるのでゲームが進むにつれて難易度が上がっていきます。救済策としてリーダートークンというものがあり、一時的に狂気を無視出来たりする効果を使えることもあります。

無事に遺物を規定個数揃えて「狂気の果て」まで到達し、脱出タイルまでもすべてクリア出来たらプレイヤーの勝利です。
クリア時に所有していた遺物の数によって、世紀の大発見として歴史に名を刻むか、ほら吹きとして学会から追放されるかというエンディングを迎えます。


感想など

ゲーマーとしてはラヴクラフトと言えばクトゥルフ神話、クトゥルフ神話と言えばSAN値(正気度)チェック、というわけですが、他の数多あるクトゥルフ神話系ゲームとこのゲームには違いがあります。狂気を具体的・直接的にロールプレイしなければいけないのです。これ苦手な人は絶対受け付けないと思います。

人前で小演技をしなければいけない、かつ普段絶対やらないようなバカげた狂気を演じなければならず、楽しくプレイできるかどうかは遊ぶグループのタイプによるでしょう。クトゥルフ神話を知らなくても遊べますが、知っていると世界観に没入しやすいのでロールプレイも容易になるかもしれません。逆に、クトゥルフ系のテーマだと知らずに「精神障害を健常者が演じて笑いものにするようなゲームは倫理的にNGである」と思ったり言われたりしたらもうそこで完全終了です。狂気山脈の箱をしまって、ディクシットでも始めましょう。

狂気山脈

総じてコンポーネントのクオリティが高い

僕がプレイした時のメンバーは、精神異常を馬鹿にして楽しもうという意識の者は一人もおらず、むしろ高ストレス下における人間の精神の脆弱性を疑似体験できる貴重な場として真剣に参加したとここに明記しておきます。非常時のパニック対処の観点からも手を抜かずにロールプレイをしました。
以下に少しゲーム後半のプレイ中の様子を描写してみます。

A君リーダー 「じゃあタイルめくるよ」
B君、C君、僕「いいよー」
タイルをめくって砂時計を反転
B君は突然立ち上がり、テーブルを離れて座り込んでしまった
A君は手でパペット人形をパクパクやるような仕草をしながら「武器14と物資16だよ」
C君は「物資」という言葉を聞いた瞬間にヒィっと叫び、固まってしまった
僕は「OK!」「OK!」「NG!」「NG!」と連呼している
30秒が経過、全員でカードを出す
結果、正しい数字が揃うわけもなく、また誰かの狂気カードがレベルアップした。

狂気カード

名状しがたい角度

プレイしながら思っていたのは、表向きは騒いだりテーブル離れたりしていても、その間に耳から入ってくる情報で割と計算高くカードプレイはできるものだなという事でした。手を抜いてロールプレイしていたわけじゃないのですが、会話に参加できなくなっても正しい判断を下すことは可能でした。

今回プレイしたメンバーには「狂気山脈」どころかクトゥルフ神話を読んだことがないメンツが2人いたのですが、問題なく楽しんでいたようです。冬山に普通に登ってもこのくらいの精神的な負担はありそうだと思って遊んでたそうです。
ただし、クトゥルフ神話を知らないとタイル裏面に書いてあるフレーバーテキストは全く意味不明なので、読まれることなくスルーされます。絶対とまでは言いませんが、プレイヤーが全員「狂気山脈」の小説か漫画を読んでからプレイすると全く違うプレイ感になると思います。


プレイ中に一番怖かったのは、100%あきらかに必要ないカードを誰かがプレイしていたのが判明した時で、全員がそんなの出していないと言い張っていてゾッとしました。皆の狂気がなんなのか他人にはわからないルールなので、「もしかして嘘をつく狂気があるのか?」「誰か足を引っ張るような行動を強制されているのか?」などと疑心暗鬼に陥りました。
結局、本当にミスで出しただけとゲーム終了後に分かったのですが、これはこれで怖かったです。誰かがうっかり凡ミスをして、それをきっかけに「こんな非合理的な行動をとるのは狂気であるに違いない」「だとすると彼が怪しい」「彼の言葉は信じない」という流れがゲーム中にできたからです。現実世界でもありそうなことですよね。

4人集まった時に、あえてこれをもう一回プレイするかは微妙なところですが、クトゥルフ神話の世界観で遊ぶゲームとしてはかなり上位に入るゲームだと思います。プレイ時間もそこまで長くありませんし、ルールもそんなに複雑ではありません。
クトゥルフ蒐集家の皆さんにおすすめします。