もくじ
・『クリベッジ』の簡単な説明
・こんな感じのゲームです
・クリベッジボードの使い方
・感想など
『クリベッジ』の簡単な説明
2~4人用。プレイ時間30分。この記事を書いている時点のBGGでは2人プレイがベストとなっています。
ルール難易度は普通ですが、他に似たゲームがない独特なルールです。トランプカードと専用の得点ボードを使います。
「クリベッジ」は400年以上前から欧米で遊ばれているトランプゲームです。穴がたくさん開いているクリベッジボードという得点ボードを使います。イギリスではパブゲームとしてとても親しまれていて、飲み屋のテーブルでビール片手にプレイするようです。また、現在は老人ホームなどでも盛んに遊ばれていて、100歳を超えた達人同士の対決などの記事を読んだことがあります。さらには米海軍の潜水艦の中での公認娯楽として認められていて、艦長室には代々受け継がれているクリベッジボードがあるなどエピソードに事欠かないゲームでもあります。
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とてもルールが独特で他に似ているゲームがありません。一応4人までプレイできますが2人専用ゲームだと思って良いと思います。
とても面白くて中毒性があります。クリベッジこそが最高の2人用トランプゲームだと言う人も少なくありません。僕もそう思っている1人で、友人とサシで遊ぶとなると「とりあえずクリベッジでも1回やっておこうか」となる事が良くあります。他に2人用ボードゲームはたくさんあるのにです。
専用のスコアボードであるクリベッジボードは多種多彩で、ボードのコレクターもいるような世界です。僕自身も気が付いたら3個所有していました。
こんな感じのゲームです
クリベッジは珍しいゲーム進行をします。
まずジョーカーを抜いた山札からランダムに1枚ずつ引き、数字の小さい方が親番プレイヤーになります。
Aが一番小さく、Kが一番強いです。
1、親番がカードをシャッフルし、子番に一度カットしてもらいます。各プレイヤーに手札を6枚ずつ配ります。
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2、親と子はそれぞれ手札から2枚を抜いて、裏返しのままでその4枚を親の「クリブ」としてまとめておきます。「クリブ」は親のもう一つの手札として得点計算時に加算されます。
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3、子は山札の好きな場所を開き、スターターカードとします。これは手札の4枚に追加するカードとして機能します。つまり5枚で手役を作るのです。
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4、子→親の順番で手札のカードを1枚ずつ交互に場に出していきます。この時のカードの合計や出し方で役ができます。役の詳細は割愛します。
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5、両プレイヤーがカードを4枚すべて場にプレイし終わったら、子から手役の計算をします。手役の詳細は割愛します。
この時121点に到達したら即座に子の勝利です。
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6、子の計算が終わったら親の手役の計算をします。親の手役の計算が終わったら、親の「クリブ」も手役として計算します。121点に到達したら親の勝利です。
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7、親も121点に到達しなかったら親と子を入れ替えて再度1に戻ってプレイを続けます。
今回割愛した手役はポーカーの役に酷似していますが異なる点も多く、プレイ役はクリベッジ独特のものです。
細かいルールや役の点数はWikipediaなどにあるので興味が出た方は見てみてください。
(外部リンク:Wikipedia クリベッジ)
クリベッジボードの使い方
クリベッジボードは、自分専用のスコアトラックに2本のピン(ペグと言います)を刺して得点を付けていきます。
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たとえばプレイ中に6点が入ったとします。2本刺さっているペグの後ろ側を抜いて、前に刺さっているペグの次の穴から数えて6個目の穴にペグを刺します。同じ手番中に追加で2点得たら今動かしたペグを2つ先の穴に刺します。これで得点完了です。さてゲームが進行して手番が入れ替わります。新しい手番で4点が入ったら、いま後ろ側に刺さっているペグを抜いて、前に刺さっているペグの次の穴から数えて4個目の穴にペグを刺します。
クリベッジは細かく得点がどんどんついていくゲームなので、途中であれ?手役で何点入ったんだっけ?と混乱した時にはボードに刺さったままのペグが加点前の現在の得点なので、そこから数え直せばOKというわけです。
察しの良い方にはもうバレてるかと思いますが、別にクリベッジボードがなくてもクリベッジはプレイできます。ポーカーチップでも紙とペンでもプレイできてしまうのですが、風情というか、クリベッジをやっている感の7割くらいはクリベッジボードのペグを抜き差ししている時に味わっているような気もするのです。試しに安価なものを1つ入手してみてください。1つ持っていると何故か2つ目が欲しくなる不思議なアイテムです。
感想など
詳しいルール解説は他サイトに丸投げしてしまいましたが、トランプゲームはインターネット上に素晴らしいルール説明が多数あります。
僕は頑張ってクリベッジの楽しさの方をお伝えしようと思います。
クリベッジは回数を重ねるごとにどんどん楽しくなっていく恐ろしいゲームです。
クリベッジというゲームに対する印象というか、こういうゲームなんだなという認識が二転三転します。
覚えたばかりの頃は「配られたカードの役でほとんど全部が決まる運要素9割の運ゲーだ、手出しの役なんてオマケ要素だ」と思うかもしれません。それが繰り返し遊んでいくうちに「手札の出し方と手出しの役を上手く作れるかどうかで勝率がかなり変わるゲームだ。運要素は6割くらいかもしれない」と思うようになり、さらにプレイを重ねていくと「終盤の手番順がすごく大事だ、特に最後のゲームは手役なんか放棄してでもやるべき事がある」という風にどんどん奥が深いことをわからせられるのです。
毎プレイ発見があってそれはもう楽しいのです。
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別の面で考えると、クリベッジの楽しさは運や確率をコントロールしているような感覚にあるんじゃないかと思います。手札に残す4枚のカード選択が終わった後に公開される「スターターカード」によって手役が完成するので、スターターカードがどんな数なら手役が高くなるかを考えます。当然確率的により高い点が期待できる待ちにしたいのですが、それをやると対戦相手の追加手札となる「クリブ」に美味しいカードを2枚送り込まなければならなくなったりするのです。自分の手役の高得点の確率を上げるのか、それとも相手の得点を低く抑えられそうな方を選ぶのか、常に選ばなければいけません。悩ましいだけにその選択が上手くいった時の快感は相当なものです。自分と対戦相手の運や確率を上手く操作して勝利を掴んだ感があるのです。
そして勝てば「自分の技術が優れている」から、負ければ「運が悪かったから」と思えるゲームバランス。僕はこれが楽しい2人用ゲームの条件だと思っています。運要素ゼロのチェスのような2人用ゲームも最高に面白いですが、あれは負けた時に言い訳ができないので!
さらに魅力なのがクリベッジボードの存在です。これは触れてみないとわからない謎の魅力があるのです。
自分の点をチマチマと数えていくペグと、運動場のトラックのようなデザインの穴だらけの板なのですが、様々なデザインのものが売られています。
僕が持っているのは安価な3人用トラックのボードと
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ハーフゲーム用に61点でゴールになっている素敵なトランプ柄の小型ボードと、
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トラベルサイズの折り畳みボードです。
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一緒にクリベッジを覚えた友人に至っては自分でクリベッジボードを作ってしまいました。
川で拾ってきた流木に穴を241個あけて作った、友人が自作した流木クリベッジボードです。すごい労力。どうかしていると思わざるを得ません。
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しかし世界にはもっと奇天烈なボードも存在します。「Cribbage board」で検索してみてください。
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多くの人を惹き付けるクリベッジの不思議な魅力、垣間見ていただけたでしょうか。僕は日本でもクリベッジがもっと一般的になったらいいのにと思っています。もしこの記事を読んで興味を持った方がいましたら、ぜひお友達を誘って遊んでみてください。BGAでも世界中のプレイヤーと無料で対戦することができます。