今回は雑記です。

BGA(ボードゲームアリーナ)というネットでボードゲーム遊びまくれる素敵Webサイトがあるのをご存じでしょうか。(2021年2月現在)
「ニムト」や「サンクトペテルブルク」などの有名どころも含まれている数十種類のゲームが無料で遊べますし、ちょっとお金を出すと数百種もある全ゲームが遊べるようになります。もちろん販売元のライセンスをちゃんと取っているので怪しいサイトではありません。
最近「カタン」や「パンデミック」のメーカーであるASMODEE社に買収されたというニュースもあるようです。今後どうなるのか注目しています。
(外部リンク:BGA

さて、先日そのBGAで友人と「クリベッジ」というカードゲームで遊んでいて(余談ですがクリベッジはお酒を飲んだりしながら2人で遊ぶには最高のトランプゲームです。少々特殊なゲームでもあるので近日中に記事にしたいと思っています ※記事にしました)勝ったり負けたりを繰り返していたのですが、友人がこんなことを言い出しました。
「BGAにはドラマチックエンジンAIがあるから、そのAIのドラマを予測すれば勝てる」
友人はいったい何を言っているのでしょうか。

BGAのクリベッジ
BGAのクリベッジ。覚えるとハマる。

つまり、友人の言わんとしていた事はこうです。
「BGAは、ゲームを面白く感じさせるために、要所要所で逆転しやすいカードを配ったり、リアルなら引かなそうな超幸運なカードを引かせてくれることがある。そのため、カードを配っているAIがドラマチックな演出をしそうなタイミングをつかんで、その流れに乗ることができれば絶対に勝てる」
この意見に共感しますか?馬鹿なことをと呆れますか?僕は似たようなことを他でも聞いたことがあり、それが気になりました。

他で聞いた似たような事とは、「バックギャモン」のアプリの話です。(また余談になりますが、バックギャモンはお酒を飲んだりしながら2人で遊ぶには最高のダイスゲームです。近日中に記事にしたいと思っています※記事にしました
バックギャモンのスマホアプリを作っていた方のインタビューか何かで読んだのですが、その制作者の方はこう仰っていました。
「どんなに苦心してダイス目をランダムにしても、必ずレビューで『このゲームのダイスはインチキだ、コンピューターに有利になるような目ばかり出す』と書かれる。どんなに精巧にランダム化しても必ずレビューで言われる。」
この方は、プレイヤーがリアルでダイスを振るモードを搭載したいと言っていました。プレイヤーに現実のダイスを振らせて、自分でその出目を入力する方式になればさすがに文句も言われないだろうというわけです。

運が介在するゲームでコンピュータープログラムというブラックボックスを通して自分の運命を決められると、人は何か作為的な力が働いていると思ってしまうらしいのです。
先述のバックギャモンアプリの話のように単純な「勝てない言い訳」としてはわかりやすいのですが、僕の友人のように勝てば「AIの行動を読んだ俺の洞察力勝ち」負ければ「AIのインチキに翻弄されたせい」などと言い出すと、一段階こじれ具合がひどくなっているように感じます。
勝敗はなるべく自分の力によることであるべきで、運の埒外でありたい、というより運すらコントロールしたいという願望も見え隠れしています。
僕はこういう人間の心理がとても面白いと思うのです。

ちなみにこの手の業界をちらと覗いたことがある僕の意見は、プログラムによる乱数生成は本当のランダムとはいえないまでも、ゲームをやる程度なら問題ないくらいのランダムを発生させられると思います。それに、ドラマチックな演出をするようなAIがあったとして、数百もあるゲーム個々にルール解析して、ドラマチック点を設定して、バレないバランスで搭載する。こんな余計なコストは発生させたくないでしょう。ボードゲーマーならコストとリソースについて考えるところです。

さて、クリベッジの話に戻りますが、クリベッジはある程度の読み合いをするゲームです。
読み合いをしていると、この友人の言う「AIのやろうとしている事を読んで、リアルではありそうもない待ちで待つと、ばっちりそこを引く」が意味を持ってしまいます。
つまりゲーム中に僕はこう考えます。
「コイツはドラマチックAIがあると思っている、ということは普通なら最も効率的で合理的な事をするはずだけど、コイツはしないかもしれない。じゃあこのカードを出すのは危険かもしれない」
深読みをしすぎた僕は結局ゲームに負け、友人は言うのです。
「ほらな!ドラマチックエンジンAIを見切った俺の勝ちだろ!」

ドラマチックエンジンAIなんてない…はずですが、ゲームは常にドラマチックであるのです。