もくじ
・『グランド オーストリア ホテル』の簡単な説明
・こんな感じのゲームです
・感想など
『グランド オーストリア ホテル』の簡単な説明
2~4人用。プレイ時間60分~120分。この記事を書いている時点のBGGでは2人プレイがベストとなっています。
ルール難易度はやや複雑。難しくはないのですが、アイコンの種類が多いので慣れるまでちょっと大変かも。
20世紀初頭のオーストリアの首都ウィーンで、プレイヤーはホテルの経営者になります。世界中から来るお客様を一流スタッフでもてなし、他のホテルよりも美味しい食事と良いサービスを提供して、最もオーストリアで格式の高いグランドオーストリアホテルになりましょう。ただし、それには皇帝陛下のお気に入りホテルである必要があるかもしれません。
というような物語があるゲームです。
ホテル経営という珍しいテーマが良いだけではなく、ゲームとしての評価も高いゲームです。
2人で遊ぶとしてもメインボードとアクションボードと個人ボード、それとトークン類でかなり場所を取ります。3人で遊ぶとなると、大きなテーブルがないと難しいかもしれません。それか床でやるか。
完全日本語版は出ていないのですが、ゲーム内の言語依存は無いのでルールさえわかれば海外版でも問題なくプレイできます。国内流通しているものは日本語ルールが付いているのもあります。
こんな感じのゲームです
ゲームシステムで分類するとダイスゲームに分類されると思います。ただ、「ホテル経営は全てダイスの運しだい」という完全運ゲーでもありません。
全プレイヤー共通の場に大量のダイスをいっぺんに振って、順番に取り合うのです。ダイスドラフトというやつです。それぞれの出目ごとにできるアクションが決まっています。5の目だとスタッフを雇えますし、5の目のダイスの数だけ値引きで雇えますよ。という感じ。
当然一つしかない出目のダイスを取ると次のプレイヤーは違う出目のダイス(アクション)を選ばないといけないので、ここでインタラクションが生まれます。
ちょっと先走って説明しすぎました。そもそもホテル経営ゲームなので、お客さんを呼ぶところからお話しするべきでしたね。
このゲームのお客さんは登場時、謎の中庭のような、オープンカフェのような屋外テーブルに並んでいます。お客さんはそれぞれ異なったご褒美をくれるので、自分のホテル経営に合ったお客さんに来てもらいたいものです。
ぜひうちのホテルに泊まってほしいと思うお客さんを1人選び、自分の個人ボードに連れていきます。なぜかホテルに宿泊してもらうのにこちらからお金を払わないといけないお客さんもいます。変だけどいいんです。ゲームだから。
このお客さん争奪戦は早取りです。ひとりホテルに案内されると、待機客たちは右にずれていき、山札からもう一人のお客さんが一番左の高価なテーブルに座ります。つまり誰にもホテルに案内されないお客さんはどんどん安くなっていき、ついに無料になります。
「あのお客さん呼び込みたいけど、3金払わないとダメなのか。3金は高すぎる。でも今取らないと安くなって他のプレイヤーが取っちゃうかもしれない」というような楽しいお悩みタイムが発生します。
さて個人ボードである自分のホテルにお客さんを連れてきました。が、みなさん部屋に入る前に食事をしないと気が済まないらしいので、まずレストランに案内します。
客カードの左上にはそのお客が食べたがっている飲食物が書いてあります。希望通り飲み食いして満足しないと部屋に入ってくれないので、ダイスアクションの中から飲食物を受け取るアクションを選んでお客様方に提供しましょう。
赤はワイン、黒はコーヒー、白はケーキ、茶はパンみたいなシュトルーデルです。
希望通りの飲食が済んで満足したらテーブルの色と同じ色の部屋に入ってもらって、お客さん固有のボーナスを受け取ります。お金をくれたり、スタッフを紹介してくれたり。ボーナスは様々です。
部屋にお客さんを入れることで条件を満たすと特別ボーナスが出たり、共通目標をクリアすることで早い者順にボーナスが出たりします。
こういう流れのゲームなのですが、まだお話していない強烈な要素が2つあります。
強烈な要素のひとつめがホテルスタッフです。
スタッフカードは大量にあり、多種多様な能力を持っています。毎ラウンド料理を無料で出してくれたり、ゲーム終了時に大量得点をくれたり。
スタッフカードだけで勝敗が決まるとは言いませんが、良いスタッフを雇うとすごいアドバンテージになります。
強烈な要素のふたつ目は皇帝トラックの存在です。
オーストリアいちのホテルになるには、皇帝陛下のご機嫌を取らないといけないのです。
3・5・7ラウンドの終了時に、ホテルに皇帝の視察が入ります。その時までに貴重なアクションを割いて、皇帝を迎える準備のようなことをしておく必要があるのです。準備が整っていないとものすごいペナルティをくらいます。準備が整ってるとボーナスがもらえます。
ペナルティは痛すぎるので避けたいところです。
7ラウンドでゲーム終了です。
部屋の埋まり具合やスタッフのボーナスなどなど、多彩な得点を全部合計して得点数の多いプレイヤーが勝ちます。
感想など
あまり流通量が多くない時期に、日本語ルール付きを運よく入手できました。慣れないうちはスタッフやお客さんのカードに書かれているアイコンの意味がさっぱり分からないので、ものすごくアイコンの意味を調べるのに時間を食いました。日本語説明文のシールを作って貼ったら、けっこうな時間短縮になったのでおすすめです。
それと飲食物のトークンが色が違うだけの̻四角キューブなのは味気ないと思い、アップグレードに手を出しました。Etsyでイタリアのショップが売っていた、かわいいミニトークンセットを買いました。すごく雰囲気が出て良いのです。
プレイしていて、やっぱりテーマがすごく良いなと感じます。剣と魔法の大冒険するのでも、よく知らない国に建物を建てまくるのでもなく、ホテル経営をするゲームというもの珍しさもあってか誰と遊んでもインストの時点で好評でした。サービス業をするボードゲームって他に何があるのかな。レストラン系で少しありますが、あまり思いつかないですね。
ゲームとしての楽しさもかなり上等で、ダイスの取り合いや、共通目標の早取り合戦、皇帝トラックを進めたいが今ケーキ取らないと多分もう取れなくなる等のジレンマ、部屋の用意の色合わせなどなど楽しい要素が盛り沢山です。
イラストなどのアートワークも僕好みで、遊んでいて気分が良いです。
問題点としては、ダウンタイムが長くなりがちなので3人以上で遊ぶのは現実的ではないところと、アイコンが多すぎて把握しきれないというのがあります。
なにしろ待ち時間が長くなるので、3人で遊ぶのにはある程度の覚悟が必要になります。4人プレイだとあまりに長い待ち時間を持て余して読み始めた漫画をゲーム終了までに1冊読み終わっていたという人もいるくらいです。2人なら集中して遊べます。2人がベストでしょう。
アイコン種類多すぎ問題は、解説シールなどを貼れば解決します。
問題というほどではないですが、スタッフカードの強い奴が強すぎるというのも若干感じます。
強スタッフの「装飾係(Decorator)」をバシッと2ラウンドあたりで相手に出された事があります。そのゲームはダブルスコア負けでした。この手のゲームでダブルスコアってなかなか無いと思うのですが。でも僕のプレイングが下手だったのも否定できない…のでスタッフのせいにはしません。それこそ次に僕が装飾係を出したのに負けでもしたら目も当てられないので。
ダイスゲームなんだからしょせんダイス運の運ゲーだろ、と思っている人にぜひ一度プレイしてみてほしいです。全員が同じダイスの出目に翻弄されるので、運ゲーだと感じる事はあまりありません。常にお金や飲食物のリソース管理がキツいゲームなので、やりくり上手が勝てるゲームだと思います。スタッフのカード運はありますが。
世界的にも人気があるゲームなのでBGGランキングも現時点で100位内です。ダンスホールなどが追加される拡張も今後出る予定のようですよ。
僕はかなりこのゲームが気に入っていて、重めのゲームができる時には必ず候補に思い浮かぶゲームとなっています。