今回は雑記です。
気が付けば何故かいっぱい増えてるトランプカード、何が違うのか比較してみました。
と言っても僕はマジシャンではないのでゲームで使うことしか考えていません。

繊細な指先の感覚を持つであろうマジシャンの方々は、滑り具合・硬さ・紙の品質などなど、自分に合ったカードを見つけるためにそれこそ何百種類というカードを試すのでしょう。とても大変そう、かつ楽しそうです。
さて、マジシャンでない我々がゲームに使うトランプはどうでしょう。これはもう張り付こうが滑ろうが、最低でも裏から見てバレなきゃなんでもいいのです。いいのですが。それでも遊びやすいトランプと言うものがあるのです。
そこで今回は僕の手持ちトランプを比較してみようと思います。と言ってもやはり大した差はないですし、個人的な体感の話でもあるので参考になるかは不明です。

比較の基準点・Bicycle バイシクル

比較の基準としては自転車柄でおなじみのバイシクルを使用します。2023年現在もっともポピュラーなトランプと言っていいと思います。

バイシクル
バイシクルの青。600円くらいで買える

バイシクルのライダーバック青、ポーカーサイズです。とっても普通ですが、ダイソーなどの100円ショップで買えるトランプと比べると超絶高品質です。
と言うかこれ使えばどんなゲームも問題なく遊べるので、これ買えばいいんです。もう結論は出てます。

滑り具合も普通でシャッフルもしやすいし、最初は硬く感じる紙質も使っているうちにちょうど良くなります。フォントも読みやすいですし、ジョーカーも白黒とカラーの二種、全てにおいて安心感があります。

耐久性もかなりあると思いますがシャッフルなどで失敗して折り曲げてしまうと、さすがにそのカードは折り目が付いて目印になってしまいます。でも、普通にゲームするだけならそれくらい気にしないで配りますよね。一般的にそんなに壊れるほど毎日遊ばないでしょうし、普通は一生のうちに買うトランプの数なんて3個くらいじゃないでしょうか。

バイシクルダース
ダース買い。狂人の所業

バイシクルをダースで買ってわかるのは、安定した高品質とすり減った自分の正気度くらいです。ゲームで遊ぶだけならダースで買う必要はまったくないです。

ということで耐久性や滑り具合、硬さなどをバイシクル基準で見ていきます。

TALLY-HO タリホー

タリホーは狩りか何かの掛け声らしいです。バイシクルと同じUSP社から出てます。

タリホー
タリホーの青。アールデコっぽいデザインが素敵

バイシクルより紙質は劣るものの最終的な仕上げ加工はタリホーのほうが上級らしいです。と言ってもゲームするだけなら違いはほとんどわかりません。
裏柄はサークルバックとファンバックの二種類が基本的なデザインで、僕はこのサークルバックのほうが好きです。ファンバックってうちわ柄なんだもの。

タリホー
タリホーの裏柄とエースのデザイン好き。ジョーカーはきらい。

ド派手なスペードのエースと目が回りそうなサークルバック、僕はバイシクルよりこのタリホーのデザインの方が好きです。
その他は少しだけ硬く感じるのと、ファローシャッフルする時にバイシクルと違う感覚があったくらい。ほとんど同じなのでゲームに何の問題もなく使えます。
店によってはバイシクルより安く売ってることもあります。

ちなみにバイシクルの紙でタリホーの最終仕上げをした「バイシクル(タリホー)エリート」というのがあります。持ってますが、ゲームするだけなら違いはわかりません。

Bee ビー

蜂ですね。Beeもバイシクルと同じUSP社から出てます。

Bee
古いオハイオ製のBee。玄人が言うには現行品より良いらしいが僕にはわからない

Beeはカジノで広く使われているカードで、裏柄に白枠がないデザインなのが特徴です。バイシクルより全体的に上質らしいです。
上の画像のオハイオ製は今はもう生産されておらず、現行品より質が良いと噂ですが僕はよくわかりません。ゲームする分には何の問題もないです。
古いせいか紙はやや反り癖がついています。そういう意味ではシャッフルなども少し癖があるので扱いがちょっと難しいかも。
ジョーカーが1枚しかなく、もう1枚は製品保証などが書いてある広告カードです。

Bee Discont
Beeの某カジノ仕様。いわくつきらしい。

上のBeeはアジアの某国某カジノで使われる予定で生産されたものの、カジノの悪事が露呈してビジネスができなくなり市場に放出されたBee。そのうちレアになるのかもしれないけど、今は激安で手に入ります。
裏柄に蓮の花があるのが好みがわかれるところでしょう。デザイン的には花柄と絵札などに金色塗料を使っているのと、赤のカードの色がえんじ色っぽい落ち着いた色合いです(後述するアリストクラットなどと同じ)。
品質は普通の現行品であるBee 92ダイヤモンドバックと同じか少しだけ上です。使い勝手がものすごく良くて、手触りやシャッフルしてる時の感じが明らかにバイシクルより良いです。
ゲームする時に最高のカードだと思ってます。これがデザイン的に嫌なら現行品のBee ダイヤモンドバックが同等の品質なのでそれでゲームすると良いと思います。

Aristocrat アリストクラット

貴族と言う名のカードです。これもUSP社から出てます。というかUSP社の他には数社しか大手トランプ会社なんてないんじゃないでしょうか。

アリストクラット
アリストクラット。僕が一番好きなトランプ。

これ、絵札は金塗料が使われています。そして赤カードが落ち着いたえんじ色。ジョーカーは色も絵柄も全く同じものが2枚。裏柄は振り子模様。
僕はこのトランプのデザインがいちばん好きです。

ところが、箱にリネンフィニッシュと書いてある通り最終加工が少し特殊で、このカード超滑ります。滑りすぎてシャッフルが難しいのです。ある程度使えば滑りも落ち着くのですが、ゲームするのに最適なトランプカードとは言えないのが残念です。デザインはすごく好きなのに。あまり売ってるのを見かけないのも不人気だからなのでしょう。
バイシクルより良く滑り、紙質硬さは同じくらいです。ちょっと高価でもあります。

落ち着いた装飾のクリベッジボードとこのカードでクリベッジするのが好きです。

COPAG 310 コパッグ310 スリム

プラスチックトランプの覇者コパッグの珍しい紙トランプです。COPAG社から出ています。

コパッグ 310
プラスチックじゃないコパッグ。あまり見かけない

制作過程でマジシャンやカジノディーラーたちに意見を聞いて本気出して作ったらしいです。発売当初は厚みのあるカードでしたが、今流通してるのはたぶん薄いスリム版がほとんどだと思います。
まぁ僕はゲームするだけなので正直そこまで創意工夫や違いを感じることはないのですが…。

コパッグ310
コパッグは文字のフォントが硬質でかっこいい。ジョーカーもかっこいい。

裏柄は唐草模様そのもので好みが分かれると思います。コパッグのデザインはフォントがUSP社のよりも硬い感じがするのが特徴です。素敵なジョーカーは完全同一で2枚です。

バイシクルよりも軟らかめに感じます。持った感じバイシクルより品質良いかもと思いますが、シャッフルなどのしやすさは特に変わらないです。つまりゲームに何の問題もなく使えます。正直アリストクラットより使いやすいですね。
これを使ってゲームをすると、USPフォントに慣れているメンバーだと違和感があって最初は不評だと思います。もちろんこっちの方が好きだというプレイヤーもいます。
個人的にはコパッグ使うならプラスチックの方でいいと思ってます。

ドイツのゲーム用トランプ

ドッペルコップやスカートといったドイツ圏で遊ばれているゲームを遊ぶためのトランプです。ASS Altenburger社などから出ています。

ドイツのトランプ
クイーンがQではなくDなのがドイツ流

ジャックがJではなくBだったりクイーンがDだったりするのですがトランプです。ドイツ語圏ではメジャーなデザインのようで、せっかくスカートやシャープコップなどのドイツ語圏トランプゲームで遊ぶならこれを使おうと思って買いました。

ドイツトランプ
馴染みがなさすぎるDとB

カードとしての品質は正直かなり悲惨なもので、バイシクルの足元にも及びません。下手するとダイソートランプ以下の品質のただのつるつるした厚紙です。環境に超気を使ってますというようなことも書いてあるのでそういう事なのでしょう。シャッフルもしにくいですし、よくカード同士がへばりつくくらい滑りません。すぐ折れるし。
この品質の悪さはゲームするのにも若干のストレスが発生するくらいです。バイシクル品質に慣れてしまうとちょっと厳しいですね。
もちろんこれらの会社には上位品質の製品も存在するので、そちらなら品質も良いのだと思いますが、入手が困難すぎてどうにもなりません。
ちなみにデザインが違うだけで他はトランプと全く同じです。

Bicycle PRESTIGE バイシクル プレステージ (プラスチック)

ここからはプラスチック製のカードになります。
めずらしいバイシクルのプラスチックトランプ「プレステージ」です。後期デザイン版。

バイシクル プラスチック プレステージ
箱がでかい。この中に紙箱があるのではなくてカードが直で入っている。

説明文を読むと、「紙と同じ感覚で使える最高のプラスチックトランプ、洗えるし半永久的に使える」と言うようなことが書いてあります。

バイシクルのプラスチックトランプ
デザインは紙のライダーバックと同じ

初期バージョンのデザインはすごく風変りな面白いものだったのですが、僕が持っているのは普通のライダーバックと全く同じデザイン。絵柄も何もかも同じ。
ただし使い勝手は全然違うもので、非常に扱いにくいです。超滑るのです。アリストクラットより滑る。上の画像はきちんとまとめたデッキをテーブルの上に置いただけなのですが、上の10枚くらいが滑ってずれていっています。他のプレイヤーにカードを配るとき、テーブルを滑らして配ろうものなら壁まですっ飛んでいきます。
とても重いですし厚みがあり、かつ滑るのでシャッフルも大変やりにくいです。これのどこが「紙と同じ感覚」なのかと。
せめて紙箱にしてほしいですが厚みがクリアできないのかもしれませんね。

COPAG コパッグ

プラスチックトランプとしては世界ナンバーワンシェアと思われるコパッグ社のトランプです。ポーカーの世界大会の公式カードらしいです。

コパッグ
プラスチックケースに2組入っている。上がブリッジサイズ。下がポーカーサイズ。

プラスチックカードと言えばこれなので、プラカード界のバイシクルライダーバック的なトランプじゃないでしょうか。
価格が安く、コスパ込みですべてが平均点以上な感じがあります。フォントやデザインは前述のコパッグ310とほぼ同じです。

コパッグ
留め具があるので箱を振っても2デッキが混じらないようになっている

紙と比べて若干重さはありますが、ゲームするのには何の問題もない品質です。シャッフルもしやすいですし、完全に折り目をつける気で折らない限り折れないでしょう。

コパッグ
紙と比べて多少は滑る

バイシクル プレステージほどではありませんが、ある程度滑りは良いです。上の画像がまとまったデッキを机に置いたときの状態です。上部の数枚がちょっと滑ってずれてます。紙トランプだとこんなにずれるほど滑らないですね。

全体的にとても良い品質で、慣れるとこればかり使うようになると言っている人を何人か知っています。

KEM ARROW ケム アロー

KEMは伝説的な上質プラスチックトランプでしたが、今は買収されてUSP社から出ています。

KEM
KEMは紙の箱になってしまった。昔はコパッグのようなプラ箱だった

KEMはふた昔ほど前、最も有名なプラスチック製トランプのブランドでした。その品質と使い勝手の良さは当時を知るプレイヤーたちから絶賛されていました。
ところがUSP社に買収されてからのKEMの評価は著しく悪く、KEMブランドとしての質に疑問を抱く声が多いです。

KEM
デザインは普通に良い

カードの品質は現行品もすごく良いです。プラとは思えない柔軟な質感の滑らないカードはとてもゲームに使いやすいもので、シャッフルも気持ちよくできます。折れないですし、持った感じの触感が何とも言えない良いものです。はじめて触った時はその品質に少し驚くくらいでした。
正直言ってプラスチックカードでトランプゲームをするならKEMでやるのが一番いいと思います。

問題はジョーカーを見るとはっきりわかるのですが

KEMジョーカー
解像度が低すぎてピクセル化しているジョーカー

印刷時のミスでジョーカーの絵柄が解像度がかなり低くなっており、昔のファミコンのゲームのようにピクセル化してしまっています。これはそもそもこういうデザインなのではなく、もとはもっと滑らかな絵です。僕も昔のKEMを数種持っていますが、それはとても美麗なジョーカー絵柄です。
さらには、このピクセルジョーカーのKEM ARROWの後に発売されたジャンボインデックスのKEMはさらに低解像度が進行してピクセルが巨大化していました。このまま悪化を続けたらどうなるのか恐ろしいです。
どういうミスを重ねると絵柄の解像度が下がり続けるのかわかりませんが、サムネを間違えて印刷した上に元データ紛失でもしているのでしょうか。これはU.S Amazonのレビューなどでも多数指摘されており、多数のユーザーからの苦情でメーカー側でも問題は把握しているはずですが交換や回収などの措置は取られていないようです。

ケースについても元はコパッグと同じようなプラスチックケースだったのが今は黒い紙箱になっていて、こちらも評判が悪いです。というのもKEMはトランプとしては非常に高価なカードで、日本で買おうと思うと5000円以上、下手すると1万円超えるのです。そんな高価なトランプなのに安価なコパッグのプラケースに及ばない紙箱に変更されてしまったのでは、文句も言いたくなるものです。
また、夏季に高温になる倉庫などで長期保管されていた場合、全体にひび割れが発生することがあるようで、その手の苦情もよく見かけます。というか僕が国内の業者から購入したものがまさにその状態だったので返品しました。

まぁジョーカーも箱もゲームに使う分にはそんなに問題にはならないかもしれませんが、あまり誠実な商売とは思えずKEMブランドの今後に不安が残ります。カード自体はプラスチックトランプとして唯一無二と言っていいクオリティなので、非常にもったいない感じがしますね。


まとめ

まだあるのですが、ちょっともう疲れたし長くなったのでこの辺にしておきます。
僕個人の感想を簡単にまとめると、紙のカードならBeeの92ダイヤモンドバックがもっとも使いやすく、プラスチックカードならKEMが使い勝手最高です。
ただし普通に遊ぶだけなら紙バイシクルで全然問題ないので、変なこだわりを持つ前に引き返すのが一番です。

本当にバイシクル1デッキ持ってれば十分なはずなのに、なぜこんなにトランプが増えるのか不思議でなりません。脳が壊れてしまったのでしょうか。たぶんそうなのですが、誰しもこの沼にハマる危険性があることを警告しておきます。でももう遅いか。こんなところまで読んてるなら貴方もトランプいっぱい持っているクチでしょう?