レッド・アウトポスト(RED OUTPOST)の感想など
風変わりな設定のワーカープレイスメントです。
テーマを楽しむゲームということでおそらく最も重要なのはこの設定なのでしょう。
「ソ連の崩壊前に実はソ連のコミュニストたちを乗せた宇宙船が遭難、地球に似た星に不時着して住み着いていたのだ」ということで、帰れなくなった彼らは共産主義(レッド)の最前線(アウトポスト)としてその星に植民地を築き上げているのです。
共産主義の楽園としての植民惑星の運営なので、いろいろと他のワカプレとはプレイ感覚が違います。各プレイヤーは労働者たちをワーカーとしてアクションスペースに配置し、アクションを行うのですが、まず資源は全員の共有財産なので誰かが掘った鉱石は誰でも自由に使えます。というかそもそもワーカー駒も全員共有で誰が使っても良いのです。なんだこりゃ。
どの労働者コマを何回使ったかをプレイヤーマーカーで記録しておいて、ラウンド終了時に勝利点を得たり失ったりするのです。たとえば、農民ワーカーコマを一番多く使ったプレイヤーは農民の幸福度で勝利点が上下します。
農民コマに向いていない鉱山労働させれば幸福度が下がりますし、気晴らしに酒場へ連れて行けば幸福度が上がります。ただし真面目で熱心な赤色の共産党員のコマを酒場へ行かせると不幸になったりします。
つまり、誰がたくさん農民コマを使っているのがわかるので、チャンスがあれば農民コマを不幸にするような労働をやらせれば他人の勝利点を削ることができるのです。同じ労働者ばかり使って明らかにマジョリティを取っていると皆から邪魔されて不幸にされます。しかしどれかのコマのマジョリティを取らないと勝利点も取れません。共産主義社会の足の引っ張り合いをイメージしたゲームシステムらしいです。
朝、宿舎からワーカーを職場に送り、昼飯を食い、夕方に別の労働へ送り、夜は寝るか飲むかする。そしてマジョリティと幸福度チェック。これを三日ぶん行ったらゲーム終了です。割とあっという間に終わります。
プレイした感想としては、想像以上に対人インタラクションがっつりの邪魔し合いゲームでした。テーマは面白いのですがここまでバチバチに対人戦だと苦手な人も多そうです。それから運の要素がほんの僅かな「ゴミ漁り」と「魚釣り」の釣果くらいで、あとは情報が共有されたアブストラクト的なゲームです。かなり先読みを要求されます。たぶん公務員と共産党員を上手く使うのが重要かな。
共産趣味がある人には超おすすめですが、共産主義の人や対人インタラクションきつめのガチ嫌がらせゲームが苦手な人にはあまりお勧めできない感じです。アートワークがちょっとサイズ・大鎌戦役を彷彿とさせるような素敵なものなので、サイズ的なゲームなのかなと思って遊んでみたらアレよりきつめのゲームでした。