もくじ
・『プエルトリコ』の簡単な説明
・こんな感じのゲームです
・ゲームの流れ(4人プレイ時)
・役割についてもう少し詳しく
・感想など
『プエルトリコ』の簡単な説明
2~5人用。プレイ時間90分~150分。この記事を書いている時点のBGGでは4人プレイがベストとなっています。
ルール難易度はやや複雑。間違いなくボードゲームの歴史に名を残す、BGGランキング1位を長期にわたって取り続けていたレジェンド的ゲームです。
プエルトリコの植民地時代が舞台です。プレイヤーはプエルトリコの総督となって、ヨーロッパに農作物を出荷したり建築物を建てたりして栄誉を争います。
以前は3人から5人用だったのですが、バリアントルールが一般化して2人から遊べるようにルールが整備されました。2人でも面白いですが、やはり3人以上で遊ぶゲームだと思います。僕が持っているのは「プエルトリコ2014」と呼ばれている拡張2種入りのちょっぴり豪華版です。今回は拡張なしで紹介します。
言語依存があります。2021年現在、様々なバージョンが入手できますが、どれも残念ながら日本語版はありませんので海外版にシールなどを貼って日本語化しています。日本語化用のデータはインターネット上に複数存在しています。「プエルトリコ 日本語化」などで検索して探してみてください。
こんな感じのゲームです
各プレイヤーの個人ボードにプランテーション農地と建物を建てていき、そこに労働者を配置していくゲームです。
プランテーションはトウモロコシ、インディゴ、砂糖、タバコ、コーヒーの5種類があります。
農作物はそれぞれ販売価値が違います。また、個人ボードのプランテーション用地には「採石場」というタイルを置くこともあります。
建物は生産施設が6種類、街の建物が17種類あります。
生産施設はプランテーション農地の作物と連動していて、農地だけでも生産施設だけでも収穫はできません。両方建ててそれぞれに労働者が割り当てられていれば収穫できます。街の建物はそれぞれに固有の能力があり、建築して労働者を割り当てることでその固有能力の効果が使えるようになります。
ゲームの流れ(4人プレイ時)
このゲームは「サンファン」や「レース・フォー・ギャラクシー」でも使われている、ヴァリアブルフェイズオーダーシステムといえば「プエルトリコ」というくらい有名なシステムで進行します。
スタートプレイヤーは「総督」と書いてあるタイルを受け取ります。
場には常に「開拓者」「市長」「建築家」「監督」「商人」「船長」「金鉱掘り」の7種の役割タイルが置いてあります。
総督タイルを持っているプレイヤーから順に役割を選んでいきます。選ばれた役割は全員が行いますが、総督だけは役割のボーナスを得ることができます。
(例:総督が建築家の役割を選んだ。プレイヤー全員が建物を建てることができるが、総督だけは1金安く建てるボーナスを得る)
全員が役割を終えたら左隣のプレイヤーが役割を選びます。このラウンド中すでに選ばれた役割は選ぶことができません。同じように全員で役割をこなし、総督だけボーナスを得ます。
一周してプレイヤー全員が役割を選び終わったら、誰も選ばなかった役割の上に1金を置きます。これは次回その役割を選んだプレイヤーが受け取ります。総督タイルを左隣のプレイヤーに渡して次のラウンドを始めます。
誰かが個人ボードに建物を12個ぶん建てるか、労働者か勝利点タイルが共通ストックからなくなったらゲーム終了です。
最終得点計算をして、最も得点の多いプレイヤーの勝利です。
役割についてもう少し詳しく
「開拓者」は場に出ているプランテーションタイルから1枚選んで個人ボードに置くことができます。プランテーションタイルはプレイ人数+1枚が場に出ています。
総督はボーナスとしてプランテーションタイルの代わりに「採石場」を取ることができます。採石場は1つあたり1金を建築コストから引くことができるようになります。※建物によって割引き上限あり
「市長」は入植船に乗っている入植者コマを各プレイヤー順番に1つずつ取って、個人ボードの各種農地や建物に労働者として配置することができます。
全員が取り終わったら、プレイヤーの人数分、または、全プレイヤーの個人ボードのまだ労働者が割り当てられていない街の建物の数、どちらか多い方の数の入植者コマを入植船に乗せます。
総督はボーナスとして入植者コマを1つ、入植船ではなく共通ストックから追加で貰うことができます。
「建築家」は建物ストックにある建物を1つ選んで購入し、個人ボードに置くことができます。建物のコストはタイル左下の丸の中の数字です。採石場で割引することもできます。
総督はボーナスとして1金安く建物を購入できます。
※建物の個々の能力が重要なゲームなのですが、大量なので割愛します。
「監督」は個人ボードのプランテーション農地と対応している生産施設の両方に労働者がいる場合、その作物のコマを共通ストックから受け取ります。
総督はボーナスとして生産した作物から1種選んで追加で1つコマを受け取ることができます。
「商人」は商店タイルの空いているスペースに、まだ商店タイルに乗っていない生産物のコマを置いて対応する金額を銀行から受け取ります。商店が満杯になったらその後のプレイヤーは売却できません。役割終了時に商店にある4つのコマを共通ストックに戻して空にします。
総督はボーナスとして1金追加で銀行から受け取ります。
「船長」は各プレイヤーが持っている生産物のコマを船に載せて出荷します。1つのコマにつき1勝利点タイルを受け取ります。同じ船には同じ種類の作物しか載せられません。まず役割を選んだプレイヤーから1種選んで船に載せます。次に左隣のプレイヤーが1種選んで船に載せ、これを繰り返します。載せられる限り全ての作物を船に載せなければなりません。船に載せられなかった作物は選んだ1つを除いてすべて破棄し、共通ストックに戻します。満載になった船は役割終了時に生産物コマを共通ストックに戻して空にします。
総督はボーナスとして、1勝利点タイルを受け取ります。
「金鉱掘り」は選んでも何もありません。
総督はボーナスとして、銀行から1金を受け取ります。
役割については以上です。
感想など
ボードゲーム史に残る名作中の名作です。ルールが複雑な感じがしますが、遊んでみると最近の重量級ゲームに比べると非常に遊びやすいです。運の要素が少ないので2人プレイだとアブストラクト風味が強くなります。3人、できたら4人以上で遊ぶととても楽しいゲームになります。
何はともあれヴァリアブルフェイズオーダーシステムです。「ヴァリアブルフェイズオーダーシステム」って口に出して言うと賢くなった気になれるのでおすすめですが、ともあれこの選ばれた役割を全員でやるシステムが素晴らしいです。全員が同じ役割を出来ちゃうというよりも、他人に役割を強要できるという意味において重要なインタラクションになっています。つまり、お金を持ってないプレイヤーがいる時に建築家を選ぶわけです。建物1つ建てられるのと建てられない差はとても大きいのです。
当然他のプレイヤーもそう考えているので自分が「今は作物がコーン1個しか無いんじゃ、頼むから船長とか商人とか選ばんといてくれ」と願うような手番順にならないように調整したいのですが、それは非常に難しいです。自分が不利になる瞬間は誰にでもやってきます。役割を選ぶプレイヤーが自分の得を取って他人の損を見逃してくれるように祈りましょう。
ちなみにプレイ人数が変わるとゲームの展開の仕方も変わり、2~3人と4人では別ゲーのような雰囲気になる事すらあります。特に商店関連でそうです。
プランテーションの取得が数少ない運頼み要素で、プレイ方針を左右するところでもあります。コーンやインディゴ主体の出荷メインで行くのか、建物による得点をメインにするのか。どの段階で決めるのか。まったく悩ましいのです。
どちらかというと初心者が経験者に勝つのが難しいゲームで、経験豊富なプレイヤーと対戦すると「ああそうか」とため息をつくことがよくあります。その時に「なんでそうなったのか」が見通し良く理解できるので面白いのだと思います。負けにもわかりやすい学習があるのです。
日本語版が出ない理由のひとつかもしれませんが、このゲームはテーマが問題視されることがあります。プエルトリコ植民地時代がテーマなので、現実の歴史では植民地に黒人奴隷を連れて来ていたのです。ゲーム内で「入植者」とはしていますが、入植者コマの色が濃い茶色なのを人種差別的であるとする意見があります。さらには現地の人々から搾取する植民地主義をゲーム化したこと自体を問題視するような意見もあります。ゲーム発売が2002年で、そのあたりの認識がまだ世界的に進んでいなかった時代なのです。もっとヤバいテーマのゲームも知っていますが、プエルトリコはこれだけ名作とされているので他より話題になるのかもしれません。考えてみればたしかにプエルトリコ人が嬉々として遊ぶような内容ではないようです。
ファンが多いのでよく戦略を研究されたゲームでもあります。古くは「宿屋最強説」などがありました。BGGのフォーラムを見ると大量の戦略が語られていたのが今も確認できます。とはいえこの手の戦略は同じレベルのプレイヤーじゃないと通用しないような気もします。同じ時にルールを覚えて一緒に上達する友人なり仲間がいれば最高ですね。