もくじ
・『アバブ&ビロウ』の簡単な説明
・こんな感じのゲームです
・感想など
『アバブ&ビロウ』の簡単な説明
2~4人用。プレイ時間90分~。この記事を書いている時点のBGGでは3人プレイがベストとなっています。
ルール難易度は普通。地上では村の発展をして地下では冒険をする、少し変わったゲームです。
「アバブ アンド ビロウ」ではプレイヤーは村を発展させつつ、村人を地下ダンジョンへ送り込んで切り拓いていきます。地上も地下も発展させて、冒険による名声も得ましょう。ゲームブックのような要素があります。
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3人プレイが時間的にも内容的にも最高だと思います。ただしカード類をどんどん自分の前に置いていくゲームなので、日本の普通のテーブルだと3人プレイはかなり厳しいかもしれません。広く使える場所を用意しましょう。
言語依存があります。英語がある程度読める人でも厳しい量だと思います。完全日本語版があるのでそちらを強くオススメします。
こんな感じのゲームです
地上では村の建物を建てたり村人をスカウトしたりして拡大していきます。ある程度準備ができたら村人を地下へ送り、ゲームブック形式の冒険で戦利品と地下の土地を手に入れましょう。
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ゲーム開始時に各プレイヤーには個人ボードと村人3人、それとベッド3つぶんの効果のある小屋が与えられます。
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手番では、まだアクションに割り当てていない村人を使って以下から選びます。
・村人2人以上を地下ダンジョンの冒険へ連れ出す
・村に建築した建物に何か収穫できるものがあれば村人1人使って収穫
・ハンマーのアイコンのある村人を使って場のカードを一枚買い、建築
・羽根のアイコンのある村人を使ってメインボードの村人市場から村人をスカウト
・労働で村人1人あたり1金を得る
使用した村人は個人ボード中央の疲労エリアに移動します。このラウンドの間その村人はアクション出来ません。
1つのアクションを行ったら次のプレイヤーの手番になります。全てのプレイヤーに使える村人がいなくなったり、パスしたらラウンド終了です。
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地上と地下のそれぞれ場に4枚ずつ出ている建物カードを購入することで、自分の個人ボード横に建物カードを並べていきます。
建物には購入時に即効果を発揮するものや、永続的な効果があるもの、貴重なアイテムを産出するものなどがあります。地下のカードの方が効果が強かったり割安だったりしますが、地下の土地を持っていないと地下の建物は建築できません。地下の土地は地下ダンジョン冒険によって獲得できます。
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地下の冒険をプレイヤーが選択した場合、イベントブックを左隣のプレイヤーが読むことで冒険を処理します。冒険するプレイヤーは地下カードの山札からカードを一枚取り、ダイスを振ります。カード記載のダイス目の示すページを左隣のプレイヤーが読みます。
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イベントブックの内容は、たとえば
「洞窟のなかを歩いていると、人が倒れているのを見つけた。助けるか無視するか? 助けるならランタン2つ<成功時コイン2個>か6つ<成功時アメジスト1個>・無視するならランタン3つ<成功時キノコ1つ・名声1下がる>」
などと書いてあります。読む係のプレイヤーは報酬以外の情報を読み上げ、冒険するプレイヤーがそれを選択します。ランタン何個というのは村人タイルに書いてあるマークの事です。
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村人タイルのダイス目の下にある矢印のようなアイコンがランタンです。上の画像の左端の村人は、ダイス4以上が出るとランタン1つ得ることができます。真ん中の村人はダイス目3以上でランタン2つ得ることができます。冒険向きなのは真ん中の村人ですね。
ダイスを振り、選択したランタンの数をクリア出来たらそこに書いてある報酬を読み上げ、地上へ帰還します。この時地下カードは地下の建物を建てる候補地として個人ボード横に置いておきます。もしランタンの数をクリアできなかった場合はカードは入手できません。
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地下でアメジストやキノコなどを得た場合、毎ラウンド開始時にもらえるお金が増えたり、ゲーム終了時の得点になったりします。
地上の建物でも収穫することができますが高くつきます。
全7ラウンドでゲーム終了です。カードなどの勝利点をすべて合計して最高得点のプレイヤーが勝利します。
感想など
これは単発ながら物語があってとても面白いです。地下に潜ってからの行動は毎回完全にダイス目次第なのでストーリーが繋がっていたりはしないのですが、昔懐かしいゲームブックの選択肢のようなのがたまりません。良さそうな方を選んで苦労してランタン集めてもキノコ1つしか貰えない事もあります。それでも地下に潜らないと一攫千金はならないのです。
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早いラウンドで建てた建物の効果でどういう勝利点の集め方をするのか決めるのですが、あきらかに強いカードが2種類くらいあってそれは早取りになっています。カード運次第では地上の建物だけひたすら建てて、一度も地下に行かないプレイで勝つこともできます。ダイス目のギャンブル要素がないぶん実は安定して勝利点を稼げる方法です。しかしそれだと地下でギャンブルしまくっているプレイヤーがちょっとツイただけで負けてしまうバランスになっています。
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地下のイベントは、ゲームブック式選択肢として考えると破格の優しさです。昔のゲームブックは選択肢を1回違えたら「死亡した。やり直そう。1ページへ」みたいなのがよくあったのですが、「アバブ&ビロウ」のダンジョンは選択肢の良し悪しは関係なく、成功すれば必ず戦利品を得て帰ることができます。村人死亡でエンドみたいなことはありません。まだ見ていないだけかもしれませんが…。
効率の面で運要素を嫌うプレイヤーは地下へ行きたがらず、一か八かを楽しむプレイヤーが地下へ行くことになりやすいです。その結果システム的に優遇されている地下を多く利用した、出たとこ勝負のプレイヤーが勝つのは面白いバランス調整だと思います。地上でだけ真面目にやっているとダイス目一発で高価アイテム取られたりしてどんどん離されていくのです。嫌でもある程度は地下冒険しなければいけないようですね。
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早いラウンドで村人の数で勝利点を得る建物を建てた時、地下へ行かずにひたすら村人をスカウトしまくって村人市場を枯らしたことがあります。地下冒険しまくり一か八かプレイヤーとは得点上で競っていましたが、あまり地下へ行かずにバランスよくやっていたプレイヤーとはすごい差をつけてしまいました。何か極端な行動をしている方が点が高くなるのはこういうゲームのあるあるですが、ちょっと露骨すぎるような気もしました。
最終的に僅差で負けましたが、冒険プレイヤーの最後の冒険でダイス目が2つ違えば僕が勝っていました。ラウンド1から7までひたすら村人を買い続けるだけのプレイは面白くはなかったので、決して良い遊びかたではないです。
プレイヤーの性格がよく出る面白いゲームだと思います。僕は地下冒険には7ラウンド中に3回も行けば満足するタイプです。自分があまりイチかバチかの博打はやりたがらないという事を発見しました。損することが少ない博打だとわかっていてもやらないのは我ながら意外でした。自分の知らない自分の事が見えてくるゲームなのかもしれません。
複雑すぎず重すぎない、ちょうど良い感じの中~重量級です。一風変わった面白いゲームですよ。