もくじ
・『ビブリオス 中世の写本師』の簡単な説明
・こんな感じのゲームです
・感想など
『ビブリオス 中世の写本師』の簡単な説明
2~4人用。プレイ時間30分。この記事を書いている時点のBGGでは3人プレイがベストとなっています。
ルール難易度は簡単。はじめての競りゲームにピッタリなんじゃないかと思います。
『ビブリオス』ではプレイヤーは中世のキリスト教修道院長となって、聖なる書物や禁書をコレクションします。他のプレイヤー修道院長たちよりも価値の高い蔵書を集めるのが目的のゲームです。対戦相手の集めている本に対して教会の怒りを向けたり、自分の集めてる本に教会の推薦を受けたりして集めている書物の価値をなるべく高くしましょう。
5分で理解できるルールの短時間ゲームですが、白熱する競りとその準備が楽しめます。(準備も楽しいのです)
2人もいけますが、3人プレイが最高に面白いです。4人でやったことはありませんが、4人だと僕には誰が何を狙っているのか全く分からなくなくなってしまいそうです。
カードやゲーム内容に言語依存はないので、ルールさえわかっていれば海外版でも問題なくプレイできます。とはいえ無理に海外版を手に入れれなくても、2021年2月現在は日本語版が容易に入手できます。
こんな感じのゲームです
まずプレイ人数によって決まっている枚数のカードを、ランダムにゲームから除外します。
カードは大きく分けると3種類あります。競りに使うお金のカード、勝利点にするために集める書物カード、書物の価値を変動する教会カードです。
お金カードは競りの時に書物を買うためにあるだけのカードですが、手持ちが少ないとゲーム後半で苦しい思いをすることになります。
書物系のカードは左上に数字が書いてあります。ゲーム終了時にカード左上の数字の合計が一番多いプレイヤーがその色のダイスを取れます。その時のダイスの目が勝利点です。
茶色の写本師と青色の顔料インクのカードは2、3、4の3種があります。
緑色の聖なる書物と、黄色のいにしえの巻物、赤色の禁じられた書物のカードは1と2の2種しかありません。
教会カードは最終的な勝利点となるダイスの目を増減できます。自分が集めている色の書物のダイス目を大きくして、他のプレイヤーが集めている書物のダイス目を小さくしましょう。
教会カードは入手したタイミングで即ダイス目の変更を行います。
このゲームは大きく2つのフェイズに分かれています。
まず最初に寄進フェイズを行います。スタートプレーヤーは山札からカードを1枚ずつ引いて、それを自分の手札に加えるか、それとも他のプレイヤーの手札になるように場に晒すか、はたまた次の競りフェイズのオークション出品用に積むか選びます。自分の手札、他のプレイヤー人数分の晒しカード、競り用、すべてに1枚ずつ配分し終わったら、他のプレイヤーは場に晒されているカードを手番順に1枚拾います。それでスタートプレイヤーの手番は終了です。次の手番のプレイヤーが同じことを行います。
以上のことを山札がすべてなくなるまで繰り返します。
すでにこの段階で、手札の中では集めようとしている色が決まっていると思います。
ここから競りフェイズがはじまります。
競り出品用の山ができているので、それをスタートプレーヤーから1枚ずつめくって、1金以上の金額から手番順に入札していきます。一度パスしたらそのカードの競りにはもう参加できません。お金のカードが出品されていた場合は手札の枚数を何枚捨てるかで入札します。
全ての競り出品山札がなくなったらゲーム終了です。各色のカードの点が一番多いプレイヤーがそれぞれの色のダイスを受け取り、ダイス目の合計数が一番多いプレイヤーが勝者になります。
重要な競りのルールを書き忘れていました。
手持ちのお金が足りなくなっても、それ以上の金額で入札し続けることが可能です。ただし、自分が最終落札者になった場合、当然お金が足りないので落札できません。それどころか罰を受けます。他のプレイヤーはインチキ入札したプレイヤーの手札から1枚ランダムに奪います。その後罰せられたプレイヤーを抜きにしてそのカードの競りをやり直します。
感想など
未プレイ時、短時間で終わる軽量級お手軽競りゲームだと侮っていました。遊んでみてびっくり、すごく面白いです。競りでマジョリティ争いをしつつ最終勝利点を変動させる駆け引きが盛り込まれている上に、それらの準備段階のお悩み分配フェイズも重要かつ楽しいものです。
競りの前に山札をすべて分配する寄進フェイズ、これがただの準備かと思いきやメチャクチャ面白いのです。
「寄進」というからには教会組織全体に寄付された書物やお金を、ありがたく修道院長たちで分配してるという設定だと思いますが、当然修道院長たるプレイヤー達は欲望丸出しの腹黒坊主しかいないわけです。
1枚目に3金カードを引いて、「オヤこれは皆さんのような貴人にはふさわしくない下賤な物、わたくしが預かりましょう」「なんだよすごく良いカードなんだな?」「こっちに回せ!」「ホホホお戯れを」などと言いながら3金を手札に入れて、次に引いたのが4点の青カードだったりすると「ぐうおおおおこんな貴重品を貴様らのような破戒僧にくれてやるわけにはいかない!競りに出品じゃ!」「オイ!何のカードだ!」「この罰当たりさっきと言ってることが全然違う」と騒ぎながら競り用の山に置きます。山札から引く残りの2枚はもう各プレイヤーに渡すことしかできないのに、引いたのがまた3金だったりしたらもう「ぐっ…悪魔と契約でもしとるのか卿らは悪運が良いな」「禁書集めてるのはお前だろ」「絶対赤の勝利点下げてやるからな」という感じで大盛り上がりするわけです。最高のゲームです。
競りは競りで「手持ちのお金が無くても、嘘をついて価格を吊り上げるために入札してよい」という邪悪なルールがあるために、「こいつはもうお金持っていないはず。競りから降りてこいつに罰を与えてやろう、いやしかし、もしお金を持っていたら青のマジョリティ争いが危うくなる」というような読み合いが面白いのです。前半の分配とは全く別の楽しさです。
また、ときどき出てくる教会カードが痛し痒しです。分配で引いてしまうと単純に手札を1枚損するだけで、でもゲーム中に1回も使わないと最終勝利点ダイスがたったの1点になったりしてしまいます。
ダイス目をマイナスする教会カードの絵は「こんな邪悪な本は燃やしてやる」と言わんばかりに焚書してる絵なのですが、実際に下げるダイス目は聖なる書物の点だったりするわけで、中世の教会権力らしいやりたい放題を堪能できます。
僕は競りゲームが下手で、あまり好んで自分からは遊ばないのですけど、3人以上でやりだすと盛り上がるので結局楽しく遊んでいます。
この「ビブリオス」は軽量級ゲームの中ではかなり好きなゲームです。はじめての競りゲームとしてだけでなく、ボードゲームで遊んだことがない友人を最初に誘うゲームとしてもお勧めできます。ルール説明が簡単なのがとても良いです。
プレイ可能な人数が増えるリメイク作がこれから出るようです。リメイクされるくらいの名作ゲームってことですよね。