『ブラス:バーミンガム』の感想など

昨年2021年度の「ボードゲームのことゲーム大賞」受賞作です。発売年は2018年なので最新ゲームというわけではありませんが、去年ようやく入手して遊べました。
こんなに面白くて世界中で人気もあるゲームの日本語版が常に品薄で入手困難なのが歯がゆいですね。

ゲーム大賞に選んだくらいなので僕はこのゲームが大好きです。テーマが「運河の時代から鉄道の時代に入る産業革命時のイギリスで事業家として成功を収めよう」という小難しそうなもので、しかもアートワークが全体的に暗いので地味で重厚な重ゲーに見えます。まぁその第一印象はあながち外れてもいないのですが、それプラス「超面白い」という枕詞が入るのです。
この「超面白い地味で重厚な重ゲー」についてちょっとだけ説明します。

ブラス・バーミンガム
ルールはそこまで複雑ではない

簡単に言うと「各都市に自分の工場や鉱山などを建てて、それらの生み出す商品や資源をイギリス中に流通させて勝利点を稼ごう」というゲームです。そのためには運河輸送船や鉄道などの交通網を都市ごとに張り巡らせなければいけませんが、これは別に自分の所有する鉄道ではなくても利用して構わないのがポイントです。
ゲームには運河の時代と鉄道の時代という区切りがあり、ゲーム中盤に鉄道の時代に入ると陳腐化して撤去されてしまう建造物もあります。運河の輸送船なども全部消えます。そのため自作の交通網もかなり大きな勝利点にはなりますが、1手番を交通網の整備に費やすなら他人の交通網を利用させてもらう方が良い場合が多々あります。

各プレイヤーに渡される手札には都市名か商品が書いてあり、手持ちのカードに関係するものしか建設できません。そこに運の要素があります。
また特徴的なこととして、工場や鉱山などで作られる資源は誰が利用しても良いのです。石炭が必要な時に他のプレイヤーの石炭工場に余剰分が載っているなら使わせてもらえます。なんと無料です。ゲームシステムから石炭を買う(盤外の大都市からの輸入と言う形です)と有料なので他プレイヤーから貰う方がお得なのですが、このゲーム、生産した物を使い切ってはじめてその建造物が勝利点になるので、他プレイヤーの勝利点増加を手伝うことになってしまいます。
鉄道の時代にはビールが重要で、労働者はビール飲まないと働いてくれません。他社のビールでも何でもいいのでビール樽を確保しなければ勝てないのです。でも他プレイヤーのビール飲むとそのプレイヤーの勝利点が増えちゃうのです。悩ましいでしょう。でも他人のリソースを使わせてもらえば自社の発展も安く早く進められるのです。資産家同士で上手くやりましょうやと言う感じです。

こういうwin-winの構造で誰も損しないでどんどんイギリスが発展していくゲーム中の様子は、産業革命の時の爆発的な発展を体験するようで興味深いです。ゲーム的にも邪魔のし合いをするというよりも、よりお得なのはどっちかを悩むのでとても居心地が良いです。好景気を遊ぶという感じでしょうか。すごく良いゲームだと思います。BGGランキング3位(2022年1月現在)なのも納得です。