もくじ
『西フランク王国の建築家』の簡単な説明
こんな感じのゲームです
感想など


『西フランク王国の建築家』の簡単な説明

1~5人用。プレイ時間60分~80分。この記事を書いている時点のBGGでは4人プレイがベストとなっています。
ルール難易度は普通。ひと癖もふた癖もあるワーカープレイスメントの名作です。

プレイヤーは西暦850年頃の西フランク王国の建築家として、新しい土地に様々な建築をして王に感銘を与え名誉と地位を得ましょう。徳を積んで社会に貢献するもよし、犯罪者たちの力を借りるのもありです。

西フランク王国の建築家
メインボード。普通のワカプレに見える

2人でも楽しめますが、やはり4人プレイが面白いです。3人以上いないと手番順に悩むよう作られているシステムが上手く機能しません。

ゲーム内に言語依存はほぼありません。海外版でも遊べますが完全日本語版がありますのでそちらをお勧めします。


こんな感じのゲームです

各プレイヤーは色を決め、個人ボードとお金、ワーカー20個を受け取ります。
建物カードを4枚ずつ引いて、1枚選んで手元に置き、残りを左隣のプレイヤーに渡します。この建物カードドラフトを最後の1枚になるまで繰り返し、最後の1枚は山札の一番下に返します。

西フランク王国の建築家
個人ボードと大量のワーカー

慣れたら個人ボードの裏面の個別能力を使うのも面白いでしょう。
メインボードに部下カードや税金入れなどを設置したらゲームスタートです。

西フランク王国の建築家
ボード右下に部下カードを並べる

スタートプレイヤーから手番をおこないます。
手番にできることはワーカーをメインボードのアクションスペースに置いて、そこに描いてあるアクションを行うだけです。
このゲームにラウンドの概念はなく、ワーカーが手元に戻ってくるフェイズもありません。
一度メインボードに置いたワーカーは基本的にはボードに置かれたままになります。

アクションは様々ありますが、一般的なワカプレとは異なり1つのアクションスペースに複数のワーカーを置くことができます。そして、1か所のアクションスペースに置かれている自分のワーカーの数によってアクションの効果が変化します。
(例:森アクションスペースにワーカーがひとつだけだと貰える木資源はひとつだけ。森に3つワーカーが置いてあると貰える木資源も3つ)

中央広場というアクションスペースで告発することにより、一か所のアクションスペースの1色のワーカーをまとめて自分の個人ボード上に拘束することができます。自分の色のワーカーもこの方法で個人ボードに戻すことができます。拘束した他プレイヤーのワーカーは守衛所アクションで1人1金として牢屋に放り込むことができます。牢屋にいる自分のワーカーは守衛所アクションで個人ボードに戻すことができます。

西フランク王国の建築家
重要なアクションの告発ができる中央広場

建築カードや部下カード、大聖堂の建設などによって勝利点が入ります。ゲーム全体で一定数の建築が行われるとゲーム終了、最も点数の高いプレイヤーの勝利です。


美徳について

このゲームには美徳という数値があります。美徳トラックで自分の今の徳の高さを表すのですが、悪い行いをすると当然徳が下がります。大聖堂建設などに協力すると徳が上がります。

西フランク王国の建築家
美徳トラック。0~14の数字で表している

闇市場を使ったり税金泥棒を行うと徳が下がります。一定数下がると大聖堂の建築へ参加できなくなり、さらに下がると税金の支払いを脱税できるようになります。徳が0以下になると借金を背負うことになります。
逆に一定数以上に徳が上がると、闇市場を利用することができなくなります。14以上まで上がると借金を無かったことにできます。

ゲーム終了時に徳が高いと勝利点がプラスされ、徳が低いと勝利点がマイナスされます。


感想など

中量級ワーカープレイスメントですが、かなりプレイ感は変わっています。ワカプレのインタラクションといえば必ずと言っていいほどアクションスペース早取りなのですが、このゲームはアクションスペースにワーカー置き放題です。しかもワーカーが手元に戻ってくるフェイズがありません。なんでしょうかこれは。

ワーカー帰還フェイズがないワカプレといえば「スキタイの侵略者」が思い当たります。あちらはワーカーが常に1つしかないゲームでしたが、この西フランク王国の建築家はワーカーが20体もいます。それでも後半になると足りなくなって半泣きになりますが。

西フランク王国の建築家
大聖堂建設は善人の貴重な得点源

1手番つかって自分のワーカーを手元に戻すのか、他人のワーカーを拘束して金に替えるのか、それとも闇市場のガサ入れのタイミングで牢獄に放り込むのか。これについて悩むのがこのゲームで大きな割合を占めています。これが2人プレイだとうまく機能しません。手番的に悩ましくなる3人以上プレイ用にデザインされたゲームだと思います。そういう事があるので2人プレイ時にはシステムが操るBotプレイヤーと協力して戦うモードが用意されています。

美徳は最初は悪事に手を染めて、ゲーム後半に慌てて徳を積むのが最も効率が良いプレイの方法だと思います。実際4人プレイ時にはそういうやり方でプレイした人が勝ちました。闇市場と税収泥棒の効率が良すぎるので、全く悪事を働かないとおそらく勝てないバランスになっています。さすが暗黒の中世。借金についてはいくらでも対処できるのでそこまで恐れる必要はなさそうに思っています。

西フランク王国の建築家
闇市場。善人の僕は一度も使ったことがない

一か所に置いてあるワーカーの数があまりに多いと、1手番で貰える資源が大量になり効率が良すぎて目立ってしまいます。そこで他のプレイヤーに拘束されないように分散してアクションを行っていたらワーカーの回収ができなくなって苦労しました。もう拘束されてナンボなのかもしれません。

ワカプレなのに場所取りではなく直接攻撃的なインタラクションがかなり強烈なゲームです。好みは分かれるところでしょうが、中量級の4人向けワカプレとしてはとてもお勧めできます。西フランク3部作の最初のゲームでもあり、これを気に入ったら他の2作も欲しくなるでしょう。