もくじ
・『バックギャモン』の簡単な説明
・こんな感じのゲームです
・ダブリングキューブを使うと強烈に面白くなる
・感想など
『バックギャモン』の簡単な説明
2人用。プレイ時間30分~。古典的ゲームですがBGGにも記事があります。
ルール難易度はやや簡単。さすがに5千年遊ばれ続けるだけの面白さがあります。僕のオールタイムベストゲームの1つです。
発掘された考古学的な証拠からわかっている範囲では紀元前3000年から遊ばれ続けているゲームです。太古の昔から多少のアレンジが加えられつつ世界中に拡散し、日本でも盤双六として飛鳥時代から遊ばれてきました。伝統的なゲームなので難しそうに思われがちですが、簡単なルールですごく面白いのです。
見たことはあるけど、どんなゲームなのかは知らないという人も多そうなバックギャモン。ルールは簡単というかすごろくで、日本でも江戸時代くらいまでは「すごろく」と言えばバックギャモンの事だったくらいにすごろくなのです。ただし完全な運ゲーではないのが面白いところです。
言語依存はありません。ルールを知っていれば地面に書いたボードと石ころでも遊べます。入手しやすい「京すごろく」さんのバックギャモンボードがコスパが良く、僕も愛用しています。
こんな感じのゲームです
簡単に言うと「振ったダイスの目だけ自分のコマを進めて、先にコマをすべてゴールさせれば勝ち」です。
詳細なルールを文章で説明すると複雑に感じるゲームなので、詳しくはルール紹介動画などを視聴することをオススメします。
各プレイヤーは自分の色を決め、各自のコマを15個並べます。
各プレイヤーともまったく同じように並べますが、反対側のプレイヤーは見た目は逆さに配置されているので注意してください。
ボードにある三角形の模様をポイントといい、全部で24ポイントあります。これがすごろくで言うマスになります。
この画像の白のプレイヤーの場合、右下が自分のインナーボード(本陣的なものだと思ってください)と言われるスペースで、ここに白のコマをすべて入れたらボードの外へコマをゴールさせることができるようになります。
コマはバックすることはできません。2つのダイスの目の数それぞれにどのコマを動かすか決めてゴールを目指します。
コマの動かし方のルールは
・相手のコマが2つ置いてあるポイントにはコマを置けない
・相手のコマが1つだけ置いてあるポイントに進んだら、その相手のコマをボード中央のバーに送る(ヒットという)
・ダイスがゾロ目になったら、ダイス目は4つぶんになる(例:3のゾロ目なら3のダイス目を4回ぶんコマを進める)
だけです。
ヒットされたコマはボード中央のバーに置かれます。次の手番ではこのコマをまず最初にボードに復帰させないと他のコマを動かすことができません。
バーは自分のゴールから最も遠い25番目のポイントとみなされます。つまり復帰は敵のインナーボードからになります。
上の画像は赤コマがヒットされてバーにいる状態です。復帰(エンターといいます)したいのですが、手番で振ったダイスは6と4でした。6番目のポイントも4番目のポイントも白のコマが2つ以上置いてあります。これはどちらの目でもエンターできませんでした。赤はこの手番ひとつも動けませんでした。
上の画像のようになったらもう決着はついたも同然です。白はコマをひとつ残しにならないように慎重にゴールさせていきます。
1ゲームで終わることもありますが、1勝利1ポイントの5ポイント先取などの遊びかたも一般的です。
相手が1枚もゴールしていない状態で勝利したらギャモン勝ちで2ポイント獲得など細かなルールはありますが、基本的な事は以上です。
ダブリングキューブを使うと強烈に面白くなる
バックギャモンは近代になってからダブリングキューブという新しいルールの発明がありました。これがバックギャモンを超エキサイティングなゲームにしてくれています。5ポイント制などで遊ぶときによく使われます。
ダブリングキューブは、このゲームに限って勝利ポイントを倍にしませんかという駆け引きのために使うダイスです。
各プレイヤーは手番になって自分のダイスを振る前に、このダブリングキューブを2倍で提示することができます。このゲームは勝てそうだなと思ったときに出すわけです。
提示された方のプレイヤーは、受けるか降りるか決めなければいけません。降りた場合はその時点でそのゲームは終了となります。勝ったプレイヤーは今の倍率での勝利ポイントを得ます。しかし受けた場合は、次のダブリングキューブ(2倍で受けたら次は4倍)を提示する資格を得てゲーム続行します。受けて大逆転を狙うわけです。
以下はダブリングキューブのやり取りの例です。激アツです。
ゲーム中盤に白はヒットされてバーへ送られます。敵のインナーボードは3か所がもう埋まっていて、エンターも容易ではありません。そこに赤プレイヤーからダブリングキューブの提示がありました。この不利な状態で2倍ゲームを受けるか今すぐ負けを認めるかしろというのです。
悩んだ末に白は2倍ゲームを受けました。最初の2倍ゲームの提示はどちらのプレイヤーからでもできるのですが、次の4倍ゲームの提示はいま受けた白プレイヤー側からしかできません。ダブリングキューブを白のゴール付近に置いておきます。
ゲームが進み、苦労のかいあって白にチャンスが訪れます。ヒットした赤のコマを簡単には逃さないような陣を敷けたので、白から4倍ゲームの提示をしました。今度は苦しい選択を迫られるのは赤の方です。先ほどの2倍ゲームの提案と違う点は、いま受けずに降りると2ポイント負けになる事です。
赤は4倍ゲームを受けました。逆転の目がないわけではないのです。敵陣の奥深くで赤コマはたった一人、白をヒットする機会をうかがいます。白はヒットされないように白コマが1つにならないように慎重に進めます。
しぶとく粘る赤にチャンスが訪れます。ついに白がひとつ残しになってしまったのです。5の目が出ればヒットして白を閉じ込めることができるかもしれません。ここで赤に5が出れば4倍の勝利点を賭けたゲームはまだまだ続くのです。
感想など
写真と文章で説明しようとすると抽象的な難解ゲームに見えてしまうのですが、実際にやるとすぐ理解できるゲームです。
ルールを聞いてダイス次第の運ゲーと思いきや、やってみれば運だけではなく技術が重要なゲームであることがすぐわかると思います。長期的に見ると盤面を上手くコントロールしたプレイヤーが勝ちます。確率とタイミングの把握が重要です。
特にダブリングキューブを使うポイント制ゲームは、ダブリングキューブ自体の扱い方で勝率は全然変わってきます。未経験であるならばぜひポイント制ゲームの楽しさを体験してみてほしいです。
バックギャモンは道具としての魅力もかなり強くあり、コレクター心をくすぐります。
僕の最初のバックギャモンボードは昭和の時代に使われていた中古ボードで、前の持ち主の戦歴が記録されたスコアノートが入っていました。金額が書かれているページもありました…。バックギャモンは賭博遊戯としての歴史が深いので、時の権力者に何度も禁止され燃やされてきたゲームでもあります。
京すごろくさんのボードは価格以上なのでオススメです。家庭で遊ぶならMサイズで良いと思います。
僕はアウトドア趣味もあるので、キャンプ用に買ったペンドルトンのトラベルバックギャモンもあります。おしゃれ。
ロールアップタイプのトラベルバックギャモンは色々なメーカーから出ていますが、遊びやすくはないです。めくれちゃうので。
アルメニアの名産品らしい木彫バックギャモンボード。ステキ。いつか欲しい。
ちなみに歴史あるゲームなので、正倉院の宝物庫にも収蔵されています。
「木画紫檀双六局」は奈良時代の8世紀頃に作られたバックギャモンボードで、現存しています。欲しい!
伊達に5千年も遊ばれてきたゲームではないので、やったことがないならぜひ一度遊んでみてください。今は無料アプリなどで一人でも遊べるので始めやすいと思います。遊びかたを覚えると高確率でバックギャモンボードが欲しくなります。
公式戦や賞金ありのトーナメントなども世界中で開催されています。世界大会で日本人が活躍しまくっているのでびっくりしました。我々に向いているゲームなのかもしれませんね。